エシカル消費とは

エシカル消費とは

エシカル消費とは、消費者が社会・環境課題に意識を向け、それを改善しようとする事業者を支援する消費行動です。具体的には、地域活性化や雇用の促進などを目指し、人や社会、地域、環境に配慮した消費を行うことを指します。

私たちが普段購入している商品の製造過程には、労働搾取や児童労働、環境破壊といった社会・環境課題が潜んでいることがあります。こうした問題を少しでも解決に近付けるためには、公正な取り引きが行われている商品や、環境に優しい商品などを購入すると良いでしょう。

環境や社会、人に配慮した商品を「エシカル商品」といい、以下のものが当てはまります。

• 売上の一部が寄付金になる商品
• 障がい者支援になる商品
• 地元の伝統工芸品
• 被災地支援につながる商品
• オーガニック商品
• フェアトレード商品

エシカル商品を購入すると、私たちは日常の買い物を通じて社会問題の解決に貢献できます。

エシカル消費が重要視される理由

エシカル消費が重要視される理由

エシカル消費が重要視される理由は、以下の2つです。

• 官民一体となって社会・環境問題解決に取り組めるため
• 企業としての社会的責任を遂行するため

社会・環境問題の解決には、企業や一般消費者の行動も重要視されています。多くの消費者がエシカル商品を購入すれば、より問題の解決に近づくでしょう。企業もエシカル消費の取り組みを推進し、社会的責任を果たすことが求められています。

官民一体となって社会・環境問題解決に取り組めるため

官民一体となって社会・環境問題解決に取り組めるため

エシカル消費が重視されている理由の一つに「官民一体となって社会・環境問題解決に取り組めること」が挙げられています。エシカル消費は行政や事業者だけでなく、一般消費者の身近な行動によって社会・環境問題の解決を促進させる力を持っているのです。

現代は世界中で社会・環境問題が生じており、各国の政府が主体となって課題解決に向けた取り組みを進めています。しかし、解決に向けて大きく躍進するためには、行政・企業・個人が一体となって取り組むことが大切です。

また、エシカル消費はSDGs（持続可能な開発目標）の17ゴールのうち、ゴール12「つくる責任、つかう責任」に密接に関わっています。

• つくる責任：持続可能な生産
• つかう責任：持続可能な消費形態の確保

たとえば、企業が発展途上国や障がいのある方に商品の製造を依頼すれば、雇用機会を創出でき、彼らの生活を守れるでしょう。さらに、消費者が製品を購入すると、製造者を支援することにつながります。

一人ひとりの行動は小さく感じられるかもしれませんが、積み重ねることで、より大きな変化をもたらし、さらなる問題解決へと進めます。

企業としての社会的責任を遂行するため

企業としての社会的責任を遂行するため

エシカル消費が重要視されるもう一つの理由は、企業が社会的責任を果たすためです。社会的責任とは、企業が社会全体への貢献を目指し、その取り組みを実行することを指します。

消費者庁は、企業が社会的責任を果たす重要性を啓発しています。企業が事業活動を継続させるには、自社の利益だけでなく社会全体に配慮した活動が求められるためです。

消費者の社会課題への関心が高まるにつれ「社会や環境への配慮は企業の責務である」といった考えが広がります。その結果、倫理に反した生産や販売を行う企業への批判が増加し、商品のボイコットが起こることもあります。

そのため、企業はエシカル消費に向けた取り組みを通じて社会全体に貢献し、自社の価値を維持・向上させることが必要です。

エシカル消費の具体例

エシカル消費の具体例

エシカル消費の種類は、以下の4つです。

• 人や社会に配慮したエシカル消費
• 地域へ配慮したエシカル消費
• 環境へ配慮したエシカル消費
• 生物に配慮したエシカル消費

企業においては、商品やサービスの開発・製造過程において、人や社会、地域、環境、生物に配慮した取り組みができるでしょう。

人や社会に配慮したエシカル消費

人や社会に配慮したエシカル消費

エシカル消費の一つとして、商品やサービスの売上の一部を寄付して社会貢献する方法があります。企業の社会貢献活動になるのはもちろん、消費者へも「誰かのためになる行動ができている」という満足感を与えられます。

たとえば、被災地に売上の一部を寄付したり、障がい者福祉施設で作られた商品を販売したりなどの方法が挙げられます。ほかにも、フェアトレード商品を通じて、発展途上国の生産者に適切な報酬を支払うことも可能です。

地域へ配慮したエシカル消費

地域へ配慮したエシカル消費

地域へ配慮した製品の開発・販売もエシカル消費に該当します。地域独自の特産品を購入すれば、その地域の経済活性化につながるためです。

たとえば、地元で生産された材料を使用した商品やサービスを開発することで、地域を活性化し、輸送コストやCO2排出の削減にも貢献できるでしょう。企業だけでなく、地域社会で暮らす方々も恩恵が得られます。

また、被災地で生産された商品を市場に流通させ、消費者が購入するのもエシカル消費にあたります。商品の販売・購入によって、災害にあった地域の経済復興を支援できるためです。

環境へ配慮したエシカル消費

環境へ配慮したエシカル消費

環境に配慮した商品開発を行うのもエシカル消費の一つです。環境に配慮した商品を製造すれば、資源の有効活用やCO2排出量の削減を実現できるでしょう。具体的には、包材を軽量化する、バイオプラスチックを使用するなどの方法があります。

再利用しやすい包装材を使うことや、ペーパーレス化を進めることも環境に優しい選択です。食品ロスを減らすために、まだ食べられる食品を提供する取り組みや、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの使用もエシカル消費にあたります。工場や店舗を稼働し、商品を製造する過程で再生可能エネルギーを活用すると、エシカル商品の製造・消費を促進できるでしょう。

生物に配慮したエシカル消費

生物に配慮したエシカル消費

生物多様性に配慮した商品の製造も、エシカル消費の一つです。生物に配慮したエシカル消費は、森林や動物たちが住む自然の保護につながります。

たとえば、FSC森林認証を受けた商品の製造・消費は、自然界の動物と人間が共存できる環境づくりに貢献できます。FSC認証とは、適切に管理された森林資源を使用した製品に付けられる認証マークです。森林の生物多様性はもちろん、地域社会や労働者の権利保護にも役立ちます。

また、持続可能な漁業の普及には、MSC認証が有効です。海洋環境や水産資源に配慮しつつ得られた水産物には、MSC認証を受けられます。

畜産動物や実験動物の苦痛を軽減する「動物福祉（アニマル・ウェルフェア）」も、エシカル消費に該当します。企業が動物福祉の考えを実践し、消費者がこれらの製品を選ぶことで、生物に優しいエシカル消費を実践できるでしょう。

エシカル消費の課題

エシカル消費の課題

エシカル消費の課題として、以下の2点が挙げられます。

• 認知度が低い
• 導入および管理コストが増大しやすい

日本国内でも社会・環境問題への関心が高まってきているとはいえ、エシカル消費の認知度は低いままです。低い認知度に反して、エシカル商品の導入・管理コストは高いため、なかなか消費行動に結びつかない現状があります。

認知度が低い

認知度が低い

エシカル消費が日本でなかなか浸透していない一因は、認知度が低いことです。2020年の消費者庁の調査によると「倫理的消費（エシカル消費）」という言葉自体の認知度は12.2％、「エシカル」はわずか8.8%でした。

参考：エシカル消費（倫理的消費）に関する 消費者意識調査報告書の概要について

グラフのとおり「環境に優しい」といった意味でよく使われる「エコ」と比較すると、エシカル消費はあまり浸透していません。エシカル消費という言葉の意味を広く浸透させることも、今後の課題として挙げられます。

導入および管理コストが増大しやすい

導入および管理コストが増大しやすい

エシカル消費のもう一つの課題に、導入・管理コストが高くなりやすい点があります。エシカル商品の製造には、原材料の調達から完成に至るまでに多くの人が関わっており、その分の人件費を確保しなければなりません。

また、エシカル商品は大量生産が難しく、生産から加工、流通、販売に至るまでのサイクルにおいて、特殊な管理が必要です。したがって、エシカル商品の導入・管理コストが増大し、企業の経済的負担が大きくなる可能性が考えられます。

さらに、エシカル消費自体の認知度の低さも相まって、消費者に認証マークの存在があまり知られていない現状もあります。手間とコストをかけてFSC森林認証やMSC認証などを取得し、商品に表示したとしても、消費者にとってその価値が明確でないことが多いです。

結果として、商品の価格を上げる必要があるものの、高価格が消費者の購入を躊躇させることがあります。高額な導入・管理コストへの費用対効果を見込めず、企業側もマークの取得や製品の開発に至らない悪循環が起きてしまうでしょう。

企業のエシカル消費の取り組み事例

企業のエシカル消費の取り組み事例

ここからは、実際にエシカル消費に取り組む企業の事例を3つご紹介します。企業のエシカル消費の事例を知れば、今後の事業展開に活かせるかもしれません。エシカル消費の取り組みを検討している場合は、ぜひご参考にしてください。

菓子メーカーA社の事例

菓子メーカーA社の事例

大手菓子メーカーA社では、チョコレートの製造過程で廃棄される「カカオハスク」を利用した取り組みを行っています。カカオハスクは、カカオ豆の外皮で、通常は廃棄されますが、A社はこれを再利用してエシカル消費に役立てています。

たとえば、カカオハスクを利用してオリジナルのクラフトジンを製造・販売したり、カカオハスクで作られたノートを、カカオ豆の原産国の子どもたちに届けたりすることです。

アウトドア総合メーカーB社の事例

アウトドア総合メーカーB社の事例

アウトドア総合メーカーB社が行っている取り組みは「寄付つきTシャツの製造・販売」です。B社のオンラインショップには約25種類のTシャツが販売されており、デザインによって支援先が異なります。

Tシャツの売上の一部はさまざまな地域や支援団体に寄付され、自然生物の保護活動や被災地支援、障がい者支援などに活用されます。豊富なサイズとカラーがあるため、誰もがお気に入りのTシャツを見つけられるでしょう。

総合化学メーカーC社の事例

総合化学メーカーC社の事例

総合化学メーカーのC社は、世界で初めて水平リサイクル技術を駆使した詰め替えパックの製造に成功しました。水平リサイクル技術とは、使用済み容器を再び同じ種類の容器に再利用することです。

C社は使用済みの詰め替えパックを回収し、新たな詰め替えパックを製造しました。使用済みプラスチックが再び価値ある商品に変わり、エシカル消費をさらに促進できるでしょう。

まとめ

まとめ

エシカル消費とは、消費者が社会・環境課題に関心を持ち、解決に向けた取り組みを行っている事業者を応援する消費行動を意味します。SDGsの達成や企業の社会的責任を果たすために、このような取り組みは企業にとっても重要です。

日硝実業では、人や環境に配慮したパッケージの開発を行っています。たとえば、広口ガラスびん「しりばり」シリーズでは、中身をすべて取り出しやすい形状で設計されています。ほかにも、バイオマスプラスチックを採用した容器を開発しました。

また、日硝実業は容器の製造から重点・機械設備まで、6次産業化をサポートしています。商品の魅力を引き出し、消費者に選ばれる最適なパッケージをご提案します。さらに、不要となった食材や余ってしまった食材を加工し「売れる」商品にする受託製造も実施中です。
日硝実業の6次産業化サポートについて

エシカル消費に対応した商品づくりを検討している方は、ぜひ日硝実業にご相談ください。

関連記事