商品パッケージのデザインは、他者の著作権を侵害しないよう注意をはらいましょう。
著作権を侵害してしまうと、刑事・民事ともに訴訟のリスクがあるほか、自社の信用の失墜にもつながります。
この記事では、商品パッケージの著作権に関する基本的な知識や、著作権侵害に該当するケース、罰則やリスク、侵害しないためのポイントなどを解説します。
- 商品パッケージデザインで著作権侵害に該当するケースがわかる
- 商品パッケージデザインで著作権を侵害した際の罰則やリスクがわかる
- 商品パッケージデザインで著作権を侵害しないためのポイントがわかる
商品パッケージデザインにおいて注意すべき「著作権」とは
商品パッケージデザインにおいて注意すべき「著作権」とは

著作権は知的財産権の一種であり、著作物および創作物の作者が有する権利です。「著作権法」において定められており、特別な手続きをしなくても保護されます。
著作権の具体的な内容としては、以下の2つが挙げられます。
- 著作人格権
- 財産権
著作人格権とは、著作物を公開するかどうか、公表に際して本名を公開するかどうかを決める権利です。また、著作物の内容を第三者に変えられない権利も含まれます。
財産権とは、著作物が許可なく第三者に利用されないということを定めた権利です。これには、著作物の利用を許可した際に、その利用料を受け取る権利も含まれます。
日本では、映像や写真、デザイン、イラスト、文章、コンピュータープログラムなどが著作権保護の対象となっています。
【著作権法第19条1項】(氏名表示権)第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。 |
商品パッケージのデザインも著作物に含まれるため、他者の作品を無断で使用してしまうと法律違反になってしまいます。
トラブルを避けるためにも、デザインを制作する際は著作権に注意し、第三者の作品を許可なく使用しないように注意しましょう。
商品パッケージデザインで著作権侵害に該当するケース
商品パッケージデザインで著作権侵害に該当するケース
商品パッケージのデザインを考える際には、著作権の侵害に十分注意しましょう。もし他者のデザインを無断で使用したり、酷似したデザインを作成したりすると、法的責任を問われるだけでなく、企業のブランドイメージにも悪影響を及ぼしかねません。
ここでは、商品パッケージのデザインにおいて、著作権侵害と判断される代表的なケースを詳しく解説します。
他者のデザイン・イラストをトレース・真似する
他者のデザイン・イラストをトレース・真似する
他者が作成したデザインやイラストをそのままトレースしたり、意図的に真似たりすると、著作権侵害にあたる可能性があります。
例えば、インターネット上で公開されているアートワークを参考にしつつ、ほぼ同じデザインを作成した場合、著作権法違反と判断されるでしょう。
著作権侵害に当たるかどうかは、元の作品との類似性によって判断されるため、多少の影響を受けた程度であれば問題にならないケースもあります。とはいえ、他者の創作物を模倣することは、法的リスクだけでなく、倫理的にも避けるべき行為です。
特にデザイン業では独自性が評価されるため、オリジナリティを重視したデザイン制作を心がけましょう。
他者のデザイン・イラスト・写真を許可なく使用する
他者のデザイン・イラスト・写真を許可なく使用する
他者が制作したデザインやイラスト、写真を許可なく使用することは、著作権侵害にあたります。
例えば、既存のデザインや、SNSなどで公開されている画像などを無断で利用する行為は、違法とされるケースが多いです。使用する場合は、原則として著作権所有者の許可を得る必要があります。
すでに著作権が切れているものや、著作権フリーの素材などであれば個別に許可を得なくても使用可能です。ただし、著作権フリーとされている素材であっても、商用利用は許可されていないケースが少なくありません。商用利用を検討している場合は、利用規約や権利関係をより詳細に確認してください。
他者のデザイン・イラストを組み合わせる
他者のデザイン・イラストを組み合わせる
既存のデザインやイラストを複数組み合わせる行為も、著作権侵害にあたる可能性があります。組み合わせることで一見新しいデザインのように見えたとしても、元となったデザインにはそれぞれの著作権が存在するため、許可なく使用すると違法とみなされるでしょう。
「一部分を組み合わせるだけなら問題ない」と考えがちですが、著作権所有者の許可を得ていない限り、無断使用は避けるべきです。著作権のあるデザインを利用する場合は、たとえ一部であっても、正式に許可を取ってからにしてください。
商品パッケージデザインで著作権侵害した際の罰則・リスク
商品パッケージデザインで著作権侵害した際の罰則・リスク

商品パッケージのデザインにおける著作権侵害は、刑事・民事の両面で訴訟に発展するリスクがあります。なかでも、企業が関与した場合の罰金や損害賠償は高額になる傾向があります。
以下では、刑事・民事それぞれの訴訟リスクについて、詳しく見ていきましょう。
刑事訴訟のリスク
刑事訴訟のリスク
商品パッケージのデザインにおいて著作権を侵害し、有罪判決を受けた場合、10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金が科せられます。
企業が関与していた場合は、個人だけでなく法人も罰則の対象となり、3億円以下の罰金が科せられます。
加えて、「著作権を侵害した」という事実は企業のイメージを大きく傷つけ、売上の大幅な減少にも直結しかねません。結果として、罰金の金額以上に損失が拡大することもあるでしょう。
民事上のリスク
民事上のリスク
商品パッケージのデザインで著作権を侵害した場合、民事上の責任を問われ、以下のような請求を受けるリスクがあります。
罰則 | 詳細 |
差止請求 | 著作権侵害にあたる著作物の使用中止 |
損害賠償請求 | 著作権侵害によって発生した損害の補償 |
不当利得返還請求 | 著作権侵害によって得た利益の返還 |
名誉回復等の措置請求 | 著作権者の名誉を回復するための措置 |
既に著作権侵害に該当するパッケージデザインの商品を販売していた場合、裁判所が差止請求を認めると、即座に販売を中止しなければなりません。
また、損害賠償や不当利得返還の金額は高額になることも多く、企業にとって大きな財務リスクとなるでしょう。
商品パッケージデザインで著作権を侵害しないためのポイント
商品パッケージデザインで著作権を侵害しないためのポイント
商品パッケージのデザインを制作する際には、著作権を侵害しないよう配慮する必要があります。以下の3つが具体的なポイントです。
- 素材は利用規約に従って利用する
- 既存デザインを利用したい場合は許可を取る
- 専門家のサポートを得る
それぞれ見ていきましょう。
素材は利用規約に従って使用する
素材は利用規約に従って使用する
オンラインで公開されている画像やフォントなどの素材を使用する際には、利用規約を必ず確認しましょう。
「著作権フリー」と表記されている素材であっても、商用利用の可否やクレジット表記の義務など、細かい条件が設定されていることがあります。商用利用が禁止されている素材をパッケージデザインに使用すると、著作権侵害となる可能性が高いです。
既存デザインを利用したい場合は許可を取る
既存デザインを利用したい場合は許可を取る
他者が制作したデザインをパッケージに使用する場合、著作権保持者から直接許可を得る必要があります。
著作権保持者に連絡を取ったからといって、必ずしも許可が出るとは限らず、許可が出たとしても許諾料や使用料が発生する可能性もあります。それでも、著作権を侵害することによる訴訟リスクや社会的信用の失墜を考えれば、正当な手続きを踏んだほうがはるかに安く済むでしょう。
とはいえ、許諾料や使用料も高額になることがあるため、そもそも費用を払ってまで使用する必要があるのかも見極めなければなりません。
専門家のサポートを得る
専門家のサポートを得る
著作権法に違反しないためには、著作権法の内容を理解し、作成したデザインが既存のものと類似していないかを調べることが重要です。
しかし、法律の範囲は広く、世の中には数多くのデザインであふれているため、自身で行うには膨大な時間が必要となるでしょう。
商品パッケージのデザインにおいて著作権侵害を防ぐためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
デザイン会社やパッケージ制作会社の中には、著作権の監修サービスを提供しているところもあります。サービスを利用することで、法的リスクを最小限に抑えたデザイン制作が可能です。
また、専門家の意見を取り入れると、著作権問題による販売停止や損害賠償のリスクを軽減できるだけでなく、独自性の高いデザインを製作しやすくなります。独自性のあるデザインは、消費者の目を引き、ブランド価値や競争力を高める効果も期待できるでしょう。
著作権リスクを回避しながら、商品パッケージの価値を最大化するためにも、ぜひ専門家への依頼をご検討ください。
商品パッケージデザインに関するよくある質問
商品パッケージデザインに関するよくある質問

他社のデザインを参考にしたり、既存のイラストやフォントを使用したりする場合、著作権侵害に該当しないか確認しなければなりません。しかし、どのケースが法律違反にあたるのかを自分で判断するのは難しいでしょう。
ここからは、商品パッケージにおける著作権のセーフラインや、関連する法律について解説します。
著作権侵害に該当しないセーフラインはある?
著作権侵害に該当しないセーフラインはある?
著作権法の第52条によると、著作物の保護期間は公表されてから70年と定められています。保護期間を過ぎた作品は社会全体の財産となるため、自由に利用できます。
また、著作権で保護されていないデザインを使用した場合も、著作権の侵害には該当しません。著作権法の対象は創作性のある表現に限られるため、単純な図形や一般的なロゴは対象外とされています。
ただし、著作権の対象ではないデザインであっても、商標や後述する意匠権で保護されている可能性もあります。法的リスクを避けるためには、適切な調査を行いましょう。
著作権のほかに抑えておくべき法律・権利はある?
著作権のほかに抑えておくべき法律・権利はある?
商品パッケージデザインを製作する際には、著作権以外にも以下の法律や権利を理解しておく必要があります。
- 意匠権
- 工業的に利用できる、大量生産を目的としたデザインに適用される権利です。
- 著作権が創作物そのものを保護するのに対し、意匠権は量産物のデザインを保護します。
- 著作権は登録不要ですが、意匠権を得るには特許庁への登録が必要です。
- 知的財産権
- 創作活動によって生み出された作品や技術に対する権利です。
- 著作権や意匠権も知的財産権に含まれます。
- 特許権
- 新しい技術や発明を保護する権利です。
- 著作権とは異なり、特許庁に出願して登録すると権利が認められます。
まとめ
まとめ
商品パッケージのデザインにおいて、他者のデザインやイラスト、写真などを無許可で試用したり、模倣したりすると、著作権侵害に該当します。著作権侵害は刑事・民事の両面で訴訟リスクにつながります。
著作権を侵害しないためには、フリー素材を使う場合でも利用規約を十分に確認しなければなりません。また、著作権で保護されているイラストや写真を利用したい場合は、著作権保持者に直接連絡を取って、許可をもらえるよう交渉する必要があります。
著作権に関するリスクを払拭するためには、専門家へのサポート依頼がおすすめです。専門家の助言を仰ぎながらデザインを進めることで、著作権リスクを回避しながら、魅力的なデザイン制作につながります。
日硝実業株式会社では、食品・化粧品・医薬品などの包装容器の企画・デザイン・開発・販売を行っています。オリジナル容器のロット販売に加え、厳しい輸出規制をクリアした容器の提供も可能なため、お気軽にご相談ください。
コメント