お菓子のパッケージは、数多くの商品が並ぶ店頭で消費者が商品を手に取るかどうかを左右する要素です。優れたパッケージは、商品の魅力を伝え、ブランドの価値を高める力を持っています。
この記事では、お菓子のパッケージが持つ基本的な役割や、魅力的なパッケージをデザインするためのポイント、実際の成功事例について詳しく解説します。
- お菓子のパッケージが持つ役割
- 魅力的なパッケージをデザインするためのポイント
- お菓子のパッケージのデザイン例
お菓子のパッケージの役割
お菓子のパッケージの役割
お菓子のパッケージは、単に商品を包むものではありません。消費者の購買意欲を刺激し、ブランドの世界観を伝え、商品を安全に届けるといった多様な役割を担っています。
ここからは、お菓子のパッケージが持つ重要な4つの役割について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
第一印象で消費者の心をつかむ
第一印象で消費者の心をつかむ
お菓子のパッケージは、消費者が商品と最初に出会う顔であり、購買意欲を直接的に刺激する力を持っています。つい買ってしまうことが多いお菓子において、パッケージが与える影響力は大きいでしょう。
数多くの競合商品が並ぶなかで、魅力的で目を引くデザインは、消費者の足を止めさせ、商品を手に取らせる最初のきっかけを作ります。実際に、日本トレンドリサーチとスプリックによる調査では、女性の49.2%、男性の37.6%がパッケージデザインを理由に衝動買いした経験があると回答しています。
美しい・かわいい・高級感があるといった見た目の魅力は、商品の価値を瞬時に伝え、「このお菓子を買う価値がある」という納得感を生み出すのです。
キャッチコピーや商品の特徴を伝える
キャッチコピーや商品の特徴を伝える
お菓子のパッケージは、限られたスペースのなかで商品の魅力を瞬時に伝える広告媒体としての機能を持っています。消費者が棚の前で一つの商品に注目するごくわずかな間に「どのようなお菓子か」「なぜ今買うべきか」を直感的に理解させる必要があるのです。
売れるパッケージは情報の優先順位が明確に設計されています。目立つ位置に配置されたブランドロゴは消費者に安心感を与え、「期間限定」や「新食感」「こだわり素材使用」といったキャッチーな言葉は、今すぐ買うべき理由を力強くアピールできるでしょう。
お菓子のパッケージデザインは、消費者の好奇心を刺激し、商品の特徴を伝えるうえで不可欠です。
商品をブランディングする
商品をブランディングする
お菓子のパッケージは、ブランドの顔として商品を消費者の記憶に深く刻み込む役割を担います。カラーパレット、ロゴ、フォントなどをシリーズ商品で統一すると、消費者は遠目からでも「あのブランドの商品だ」と認識できるでしょう。
独自のロゴやデザインは、ブランドの個性を表現し、他社との明確な差別化を図れます。ブランドイメージが消費者に浸透すると、消費者からの信頼を得られるでしょう。
商品に込められた思いやメッセージを伝える
商品に込められた思いやメッセージを伝える
お菓子のパッケージデザインは、商品のコンセプトや世界観を視覚的に表現し、商品に込められた思いやメッセージを消費者に伝える役割もあります。例えば、再生紙を利用した素朴な風合いのパッケージは、自然派や環境配慮といったブランドの姿勢を語ってくれるでしょう。
和菓子のパッケージであれば、和紙の伝統的な素材感、格式高い筆文字のフォント、季節の風物詩や縁起の良い柄をあしらうと、お菓子が持つ歴史や文化的な背景を視覚的に伝えられます。パッケージによりお菓子に込められた思いやメッセージを伝えられると、ブランドは信頼性と独自性を確立でき、消費者の心に長く残り続ける存在となります。
お菓子のパッケージの作成方法
お菓子のパッケージの作成方法
売れるお菓子パッケージをゼロから作り上げるには、デザインの知識だけでなく、素材選びや法規制、印刷・加工技術など、幅広い知識と経験が求められます。コンセプトを形にし、機能性とデザイン性を両立させ、コスト管理まで行うプロセスを自社だけで完結させるのは難しいため、専門企業に依頼するのがおすすめです。
専門企業であれば、コンセプトの立案から素材選定、デザイン制作、法規制のクリア、印刷・加工、納品まで、複雑な工程をワンストップで管理してくれます。担当者の負担を大幅に軽減し、時間とコストを最適化しながら、高品質なパッケージを実現できるでしょう。
日硝実業では、ブランド価値を最大化するパッケージ作成をトータルでご提案します。まずはお気軽にご相談ください。
お菓子のパッケージをデザインする際のポイント
お菓子のパッケージをデザインする際のポイント
消費者の心に響き、売上につながるお菓子のパッケージをデザインするには、いくつかのポイントがあります。ターゲット設定から素材選び、法規制の遵守まで、魅力的なパッケージ作りに欠かせない要素を一つひとつ確認していきましょう。
ここからは、パッケージデザインを成功に導くための8つの重要なポイントを解説します。
ターゲット層を明確にする
ターゲット層を明確にする
お菓子のパッケージデザインを成功させるには、ターゲット層を明確にするのが重要です。誰に届けたい商品なのかを具体的に設定すると、デザインの方向性が定まり、メッセージが的確に伝わるためです。
若い女性向けのお菓子なら、パステルカラーやかわいらしいキャラクターなどを取り入れた、思わずSNSでシェアしたくなるような見た目が、購買の決め手になるでしょう。大人向けのお菓子であれば、黒やブラウンといった落ち着いた色調、上質な手触りの素材、品格のあるフォントなどを用いて、贅沢感や本物感を演出するのが効果的です。
ターゲットの年齢や性別、ライフスタイル、価値観を深く分析し、心に刺さるデザインを戦略的に構築しましょう。
情報の読み取りやすさを意識する
情報の読み取りやすさを意識する
パッケージデザインは、情報の読み取りやすさを意識するのが大切です。伝えたいことが多いあまり、テキストや画像を詰め込みすぎると、パッケージ全体が雑然とした印象になり、消費者は何が重要なのかを理解できずに混乱するためです。
パッケージの表面は、ブランド名や商品名、もっともアピールしたいキャッチコピーなど、重要な情報が一目で認識できるように、シンプルに設計する必要があります。原材料や栄養成分表示、アレルギー情報といった表示は、裏面に整理して配置すると、表面の主要なメッセージを効果的に伝えられます。
本当に伝えたい核心的なメッセージを1つか2つに絞り込み、シンプルかつ効果的に表現しましょう。
商品の魅力を視覚的に訴える
商品の魅力を視覚的に訴える
お菓子のパッケージは消費者の五感に訴えかけ、「美味しそう」「楽しそう」といった直感的な感情を引き出すのが重要です。特に色やフォント、写真・イラスト、素材・形状などの視覚情報は、購買意欲を大きく左右します。
商品の魅力を視覚的に訴えるための具体的な手法について、以下より詳しく見てみましょう。
色使い
色使い
パッケージデザインの色使いは、消費者の感情や生理的な反応を瞬時に引き起こし、商品の印象を決定づけます。赤はいちご、黄色はレモンやバナナ、茶色はチョコレート、緑は抹茶など、色は特定のフレーバーと強く結びついており、消費者は無意識のうちに味を想像するでしょう。
また、色は心理的なイメージを伝える効果もあります。例えば、赤は興奮や情熱を喚起し、食欲を増進させる効果があるため、スナック菓子によく用いられます。黒や金、銀といった色は高級感や特別感を演出するため、贈答品に適しているでしょう。
「どの色がこの味を表すか」という視点だけでなく、どの色合いが自社のブランド価値やターゲット層の感性にもっとも響くかを判断する必要があります。
フォント
フォント
パッケージに使われるフォント(書体)は、ブランドの個性や商品の世界観を表現する重要な要素です。フォント一つで、消費者が抱く商品の印象は大きく変わります。
例えば、手書き風の丸みを帯びたフォントは、親しみやすさや優しさ、手作り感を演出するのに効果的です。また、高級な贈答品であれば格調高い筆文字、子ども向けであればポップで遊び心のある書体など、ターゲット層とブランドイメージに合わせて戦略的に選ぶとよいでしょう。
さらに、文字の太さや大きさを使い分けると、情報に優先順位をつけられます。もっとも伝えたい商品名は太く大きく、補足的な情報は細く小さく配置すると、消費者の視線を効果的に誘導し、メッセージをスムーズに伝えられるでしょう。
写真・イラスト
写真・イラスト
お菓子のパッケージにおいて、写真やイラストは消費者の食欲を直接刺激し、「食べてみたい」という欲求を引き出す効果があります。
特に写真は、リアリティをもって美味しさを伝えるのに最適です。チョコレートがとろりと溶け出す瞬間、クッキーを割ったときのザクザクした断面、フルーツの表面で輝く水滴など、食品を魅力的に見せるための「シズル感」を演出するのに有効です。
一方で、イラストは、写真では表現しきれない独自の世界観やストーリーを構築するのに適しています。親しみやすいキャラクターを用いて楽しさを演出したり、レトロなタッチのイラストで懐かしさや温かみを表現したりと、ブランドの個性を際立たせられます。
写真を使うか、イラストを使うか、あるいは両方を組み合わせるかは、商品の特性とブランドがめざす戦略に合わせて判断しましょう。
素材・形状
素材・形状
パッケージデザインは視覚だけでなく、消費者が商品を手に取ったときの触覚にも訴えかけます。素材の質感や容器の形状は、商品の品質感を伝え、ブランド体験をより豊かにするうえで見過ごせない要素です。
例えば、光沢を抑えたマットな質感の厚紙は、高級感や落ち着いた雰囲気を演出し、和紙や木箱のような自然素材は、伝統やオーガニックなイメージを伝えられます。透明度の高いOPPフィルムは中身の鮮やかさをそのまま見せ、パリッとした手触りが軽快な印象を与えます。
また、特徴的な形状の箱や袋はブランドの象徴となり、消費者の記憶に深く刻まれるでしょう。金や銀の箔を熱で圧着する「箔押し」や、表面に凹凸をつける「エンボス加工」などは、消費者が思わず手に取ってみたくなるような付加価値を生み出します。
機能面・実用性も意識する
機能面・実用性も意識する
魅力的なデザインであると同時に、機能性と実用性を備えているパッケージは、ブランドへの信頼と満足度につながります。
パッケージは、輸送中や陳列時の衝撃、湿気、光、酸素などからお菓子を守り、製造時の品質を消費者の手元まで安全に届けなければなりません。特に割れやすいクッキーや溶けやすいチョコレートなどは、衝撃を吸収する仕切りや、温度変化に強い素材を選ぶ必要があります。
また、消費者が「開けにくい」と感じるパッケージは、大きなストレスとなり、ブランドイメージを損なう原因にもなりかねません。ミシン目を入れたり、切り口を分かりやすく表示したりなど、誰でも簡単に開封できる工夫が求められます。
さらに、ジッパー付きのパッケージは中身の鮮度や風味を保ち、残りも衛生的に保存できるため、消費者の満足度を大きく高めるでしょう。
オーバーな表現を避ける
オーバーな表現を避ける
パッケージデザインでは、オーバーな表現は避けましょう。実際に開封した商品がパッケージのイメージと著しく異なっていた場合、消費者は「騙された」と感じ、商品やメーカーに対して不信感を抱く可能性があります。リピート購入の機会を失うだけでなく、SNSを通じて悪評が拡散されるかもしれません。
日本では、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」によって、実際の商品よりはるかに優良だと誤認させる「優良誤認表示」は禁止されています。
例えば、実際には少量しか使用していない高級食材を「100%使用」とアピールしたり、商品のサイズを実物よりもはるかに大きく見せたりすると、法律違反の可能性があります。
商品を美しく見せるための演出は必要ですが、事実を歪めるほどの誇張は避け、正しい情報提供を心がけましょう。
お菓子のパッケージの事例
お菓子のパッケージの事例
ここからは、実際に市場で成功しているお菓子のパッケージを3つのカテゴリーに分けてご紹介します。各社がどのようにパッケージを活用してブランド価値を高め、消費者の心を掴んでいるのか、具体的な事例から秘訣を探っていきましょう。
商品の世界観を伝えるグミのパッケージ
商品の世界観を伝えるグミのパッケージ
競争が激しいグミ市場では、各社が独自の世界観をパッケージで表現し、他社との差別化を図っています。味や食感だけでなく、パッケージが持つストーリー性でファンを獲得する戦略が特徴です。

画像出典:Marosh マロッシュ ブランドサイト – Kanro POCKeT
カンロ株式会社の「Marosh(マロッシュ)」は、もこもことした雲のようなモチーフや、マシュマロのような柔らかさを感じさせる独特のフォント、淡いカラーリングが一体となり、商品の特徴と独自の世界観を見事に表現しています。
公式サイト:Marosh マロッシュ ブランドサイト – Kanro POCKeT

画像出典:シークラゲグミ アカクラゲ – Kanro POCKeT
同じくカンロ株式会社の「シークラゲグミ」は、半透明のパッケージ越しに、クラゲを模したグミの姿がそのまま見えるようになっています。まるでクラゲが海の中を漂っているかのような幻想的な世界観を演出し、「これは何だろう?」と消費者の好奇心を強く刺激するデザインです。
公式サイト:シークラゲグミ アカクラゲ – Kanro POCKeT
一目でわかるチョコレートのパッケージ
一目でわかるチョコレートのパッケージ
チョコレートのパッケージは、ブランドの個性を確立し、長年にわたって消費者の記憶に残り続けるための工夫が凝らされています。

画像出典:ガーナ|お口の恋人 ロッテ
株式会社ロッテの「ガーナミルク」は、発売当時から55年以上にわたり、パッケージの基調色として赤を使い続けています。一貫したカラー戦略によって強力なブランドイメージが消費者に浸透しているため、棚を一目見ただけで商品をすぐに認識できるでしょう。
公式サイト:ガーナ|お口の恋人 ロッテ

画像出典:チロルチョコ|チロルチョコ株式会社
また、チロルチョコ株式会社の「チロルチョコ」は、正方形の小さなキューブ状と個包装のデザインが魅力です。定番の味から季節限定、人気キャラクターや企業とのコラボレーションまで、多彩なデザインを展開しています。
消費者は新しい味を試すだけでなく、パッケージを集める楽しみも得られるでしょう。
公式サイト:チロルチョコ|チロルチョコ株式会社
子どもから大人まで楽しめるせんべいのパッケージ
子どもから大人まで楽しめるせんべいのパッケージ
日本の伝統的なお菓子であるせんべいも、パッケージの工夫によって幅広い世代に愛される商品が数多く生まれています。

画像出典:星たべよ(しお味) – 株式会社栗山米菓|Befco(ベフコ)
株式会社栗山米菓の「星たべよ(しお味)」は、パッケージに親しみやすいオリジナルキャラクターを描き、明るく楽しい雰囲気を演出し、ファミリー層に強くアピールしています。
公式サイト:株式会社栗山米菓|Befco(ベフコ)

亀田製菓株式会社の「ハッピーターン」は、キャンディのようなツイスト個包装を採用し、ハッピーターンの周りにかかっている粉が落ちる課題を解決しました。また、手を汚さずに食べられたり、シェアしやすくなったりと、実用性も向上しています。
公式サイト:ハッピーターン|亀田製菓株式会社
子どもから大人まで楽しめるパッケージのせんべいは、世代を超えて愛されるロングセラーの地位を確立しています。
まとめ
まとめ
お菓子のパッケージは、商品の第一印象を決定づけたり、特徴やブランドの世界観を伝えたりして、消費者の購買意欲を刺激する役割を担っています。成功するパッケージを作るためには、ターゲットに合った色やフォント、写真などを効果的に使い、商品の魅力を視覚的に訴えるのが重要です。
また、保護性や開封性などの機能面も考慮しながら、関連法規を遵守しなければなりません。
日硝実業は、長年にわたり培ってきたノウハウと技術力を活かし、企画立案からデザイン、資材調達、生産、品質管理までをワンストップでサポートします。お客様のブランド価値を高めるパッケージを、私たちが一緒に作り上げます。
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