自社商品に最適なプラスチック容器を選びたいと考えていても、「種類が多すぎてどれが適しているかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。プラスチック容器は素材や形状ごとに適する用途や特徴が異なるため、それらを確認したうえで最適なアイテムを選ぶことが大切です。
今回は、プラスチック容器の種類を素材・形状別にご紹介します。自社商品に適したプラスチック容器選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- プラスチック容器:素材の種類
- プラスチック容器:形状別の種類
プラスチック容器の素材の種類
プラスチック容器の素材の種類
プラスチック容器にはさまざまな素材が利用されています。素材に応じてそれぞれ特徴が異なり、メリット・デメリットに応じて使い分けることが重要です。
プラスチック容器に使われている素材の種類ごとに、分類や特徴、主な用途などをチェックしていきましょう。
ポリエチレン(PE)
ポリエチレン(PE)
ポリエチレン(PE)は、エチレンを原料とし重合して作られる合成樹脂です。安価で大量生産が可能であり、レジ袋や食品包装などに広く使用されています。
ポリエチレンは主に、強度・耐久性・耐水性に優れた高密度ポリエチレン(HDPE)と、柔らかくすぐに変形させられるため加工しやすい低密度ポリエチレン(LDPE)があります。
特徴 | |
高密度ポリエチレン(HDPE) | 強度・耐久性・耐水性に優れており、レジ袋やレジャーシートに用いられる |
低密度ポリエチレン(LDPE) | 柔軟性・加工性が高く、食品包装や日用品などに広く使われている |
それぞれの特徴を見ていきましょう。
高密度ポリエチレン(HDPE)
高密度ポリエチレン(HDPE)
高密度ポリエチレン(HDPE)は、剛性が高く硬い、強度に優れたポリエチレン素材です。不透明なため、フィルムにしても白濁色をしています。
引っ張る力や衝撃への耐性も高く、レジ袋やゴミ袋、レジャーシートなどさまざまな用途で使われています。
【メリット】
- 剛性が強く、耐衝撃性に優れている
- 耐水性が高く、防水シートやパイプなどに利用できる
- 低密度ポリエチレンより安価
【デメリット】
- 白濁色で透明度が低い
- 高温に弱い(ただし、低密度ポリエチレンよりは高温に強い)
- 接着性が低く、印刷や塗装がつきにくい
低密度ポリエチレン(LDPE)
低密度ポリエチレン(LDPE)
低密度ポリエチレン(LDPE)は、柔軟性と加工性が高く、食品包装や日用品などに広く使われている素材です。エチレンを高圧で重合させるため、高圧法ポリエチレンとも呼ばれます。
高密度ポリエチレンに比べて透明性は高い素材ですが、耐熱性が低いほか高コストであることが特徴です。
【メリット】
- 柔軟性・耐衝撃性が強く、包装材やフィルムとしての使用に適している
- 耐水性・耐薬性・防湿性が高く、腐食しにくい
- 表面がなめらかで、印刷しやすい
【デメリット】
- 高密度ポリエチレンに比べて、耐熱性が低い
- 紫外線に弱く、長時間さらされると劣化する
- 高密度ポリエチレンと比較して、製造コストがかかる
ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレン(PP)は、軽くて汎用性が高く、さらに安価で大量生産しやすいプラスチック素材です。フードパックやポリボトル、お菓子のパッケージなどに使用されています。
ほかのプラスチック素材と比較して熱にも強く、曲げても折れにくい性質が特徴です。ただし、紫外線を長時間浴びると劣化が進みやすくなるほか、可燃性がある点には注意が必要です。
ポリプロピレンには、フィラー入りポリプロピレン(PPF)や発泡ポリプロピレン(EPP)などがあります。
特徴 | |
フィラー入りポリプロピレン(PPF) | 耐熱温度を130℃まで高めた素材で、弁当や惣菜の容器として適している |
発泡ポリプロピレン(EPP) | 熱や油に強く耐衝撃性も高いため、食品容器のほか自動車産業や家電製品などにも用いられる |
フィラー入りポリプロピレン(PPF)
フィラー入りポリプロピレン(PPF)
フィラー入りポリプロピレン(PPF)は、ポリプロピレンにタルクなどの無機物を配合して、耐熱温度を130℃まで高めた素材です。
耐熱性・耐油性が高いため、弁当や惣菜の容器として適しています。ただし、耐熱性は高くなっていますが断熱性は持たないため、熱いものを入れる際には注意が必要です。また、電子レンジでの温めは問題ありませんが、加熱のしすぎや高温での調理は変形の原因となるため避けましょう。
【メリット】
- 耐熱性が高く、電子レンジで温められる
- 耐油性に優れ、弁当や惣菜など油分を含んだ食品の容器に適している
【デメリット】
- 電子レンジやオーブンなどによる加熱のしすぎや、高温調理は変形の原因となる
発泡ポリプロピレン(EPP)
発泡ポリプロピレン(PP)
発泡ポリプロピレン(EPP)は、ポリプロピレンを発泡させて作られた素材です。熱や油に強く、曲げても割れにくいことが特徴です。
食品容器のほか、自動車のバンパーやシートのクッション材、冷蔵庫や洗濯機の断熱材など、幅広い分野で使われています。
【メリット】
- 耐熱性に優れ、温かい食品の容器に適している
- 断熱性があり、家電の断熱材としても使用される
- 耐衝撃性が高く、繰り返し使用できるほか緩衝材としても活用できる
【デメリット】
- 紫外線により劣化しやすい
- 表面の処理が難しく、印刷や接着の処理がしにくい
ポリスチレン(PS)
ポリスチレン(PS)
ポリスチレン(PS)は、熱で溶ける熱可塑性樹脂です。安価で加工性に優れているため、食品容器や日用品に多く用いられています。
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、発泡ポリスチレン(PSP)などがあります。
特徴 | |
ハイインパクトポリスチレン(HIPS) | 衝撃性が高く、惣菜や刺身など食品容器として使用されている |
発泡ポリスチレン(PSP) | 一般的に発泡スチロールと呼ばれる非常に軽い素材で、食品トレーとして用いられる |
それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)は、ポリスチレンにゴムを配合し、衝撃性を高めている素材です。そのため、耐衝撃性ポリスチレンとも呼ばれています。
ゴムが配合されているため透明性は低いのが特徴で、惣菜や刺身、ヨーグルトなどの容器として使用されています。
【メリット】
- 衝撃に強く、曲がったり割れたりしにくい
- 着色やにおい移りがしにくく、食品にも安心して使用できる
【デメリット】
- 透明性が低く、中身を見せたい場合には適さない
- 耐熱性が低く、電子レンジでは変形や溶解する恐れがある
発泡ポリスチレン(PSP)
発泡ポリスチレン(PSP)
発泡ポリスチレン(PSP)は、ポリスチレンを数倍から数十倍まで発泡させた素材です。一般的には、発泡スチロールと呼ばれています。
体積の90%以上が空気であるため非常に軽く、食品トレーによく用いられています。
【メリット】
- 手に持っても熱を感じにくい
- 熱を伝えにくく、食品の保存性が高い
- 90%以上が空気のため、軽量
【デメリット】
- 耐熱性が低く、電子レンジでは使用できない
- 耐油性が低く、油に触れると軟化または溶解する恐れがある
ポリエチレンテレフタレート(PET)
ポリエチレンテレフタレート(PET)
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、石油を原料としたプラスチックの一種で、ペットボトルや食品トレー、衣服などに使われる合成樹脂です。
耐熱性や耐寒性、透明性などに優れています。また、リサイクルが可能で環境に優しい素材です。
柔軟性があり加工しやすい素材ですが、反対に形状維持が必要なものには適さない場合があります。
【メリット】
- 耐熱性・耐寒性が高く、耐熱温度は約200℃、耐寒温度は約-60℃
- 透明度が高く、外から中身を確認できる
- 耐水性に優れ、水を通さない
- リサイクルがしやすく環境に優しい
【デメリット】
- 高温で加水分解し、高温・高湿度環境下では機能が低下する恐れがある
- 使用用途によっては強度が不足するため補強が必要
ポリ塩化ビニル(PVC)
ポリ塩化ビニル(PVC)
ポリ塩化ビニル(PVC)は硬質と軟質があり、用途に応じて使い分けられています。強度の高い硬質はダクトやパイプ、軟質はラップフィルムや食品容器などに使用されます。
耐熱性・耐寒性が低く、熱を加えると変形しやすいことが特徴です。
【メリット】
- 難燃性が高く、ほかのプラスチック素材に比べて引火や着火がしにくい
- 空気による酸化が起こりにくく、耐久性が高い
- 加工性に優れ、印刷適性も高い
【デメリット】
- 耐熱性・耐寒性が低く、熱により変形しやすい
- 有機溶剤に弱く、触れると軟化や腐食がしやすい
ポリアミド(PA)
ポリアミド(PA)
ポリアミド(PA)は、耐摩耗性や耐衝撃性が高いプラスチック素材で、包装フィルムや衣類などに使われます。アミド結合によって形成されるポリマーで、一般的にナイロンとも呼ばれている素材です。
摩擦や衝撃に強い一方、水や紫外線には弱く、これらを受けると劣化しやすいことが難点です。
【メリット】
- 耐摩耗性に優れ、摩擦に強い
- 強度が高く、耐衝撃性に優れている
【デメリット】
- 吸水性が高く、劣化や変質しやすくなる
- 耐候性が弱く、紫外線を受けると劣化が進む
- 帯電性が強く、静電気が起きやすい
AS樹脂(SAN)
AS樹脂(SAN)
AS樹脂(SAN)とは、アクリロニトリル(A)とスチレン(S) を共重合してできた樹脂素材です。
透明スチロール樹脂とも呼ばれ、見た目が美しく、硬度と透明性に優れています。スチレンの透明度を維持しながらも、耐薬品性と耐衝撃性がバランスよくプラスされていることが特徴です。
【メリット】
- 透明度が高い
- 耐薬品性が強く、劣化しにくい
- 強度・剛性に優れ、衝撃に強い
【デメリット】
- アルコールに弱く、長時間触れると劣化する
【形状別】プラスチック容器の種類
【形状別】プラスチック容器の種類
ここからは、日常的に使われているプラスチック容器のうち、日硝実業で主に取り扱っているものを形状別に5種類ご紹介します。
- 蜂蜜用ボトル
- 食品用ポリボトル
- PETボトル
- スパイス用PETボトル
- 広口容器
それぞれの特徴をチェックしていきましょう。
蜂蜜用ボトル
蜂蜜用ボトル

出典:【つつむすび】SSC357ボトル(ケース): プラスチック容器|ガラス瓶・容器の仕入れを簡単便利に
蜂蜜用ボトルは、粘度が高い液体を入れるのに適した樹脂容器です。
日硝実業の蜂蜜用ボトルは軽くて扱いやすい柔軟なボトルで、簡単に蜂蜜を押し出せます。別売りの専用キャップと合わせて使えば、液切れの悪さや、なかなか出てこないといった不満を解消できます。
食品用ポリボトル
食品用ポリボトル

出典:【つつむすび】SSC多層300ボトル(ケース ナチュラル): プラスチック容器|ガラス瓶・容器の仕入れを簡単便利に
食品用ポリボトルは、柔軟性が高く、絞り出して使うタイプの容器です。主に、マヨネーズやお好み焼きソースのボトルなどに使われています。
ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などで作られることが一般的です。ポリエチレン(PE)は耐水性や防湿性などに、ポリプロピレン(PP)は耐熱性や耐油性などに優れていることが特徴で、食品用ボトルとして衛生的かつ安全に使用できます。
PETボトル
PETボトル

出典:【つつむすび】VU-200PET 刻印なし: プラスチック容器|ガラス瓶・容器の仕入れを簡単便利に
PETボトルは透明性に優れているため、中身やその残量をすぐに確認できることが特徴です。強度が高く、落としても割れにくい点もメリットです。
くわえて、軽量で持ちやすいほか、気密性が高いため内容物の劣化を抑えられます。
口部規格は調味料用と飲料用の2つです。調味料用の口部は2タイプあり、26.3打栓キャップが適合するものは「M口」、32打栓キャップが適合するものは「F口」と呼んでいます。
飲料用には、口部を白化させて減圧吸収パネルを設けた耐熱充填仕様や炭酸飲料用の耐圧仕様などがあります。調味料用は商品ごとにスペックが異なるので注意しましょう。熱を加える場合は、各商品の耐熱温度を確認してください。
スパイス用PETボトル
スパイス用PETボトル

出典:【つつむすび】UZ-8ボトル+フリカケcapセット(ケース 1ツ穴赤cap(パッキン付) 400本入)_ プラスチック容器|ガラス瓶・容器の仕入れを簡単便利に
スパイス用PETボトルは、その名のとおり、塩やこしょうといったスパイスの保存に適した容器です。ペットボトルは軽量ながら強度が高いため、落としたりしても安心して使用できます。
日硝実業のスパイス用PETボトルは、キャップとボトルのセットで販売されています。中身に応じてキャップの色と穴数を選ぶことが可能です。
広口容器
広口容器

出典:【つつむすび】T-PET92-200本体(ケース 250本入): プラスチック容器|ガラス瓶・容器の仕入れを簡単便利に
広口容器は、開口部分が大きく広いタイプの容器です。
軽くて扱いやすく、食品を中心に広く使用できます。開口部が広いため内容物の出し入れがスムーズで、洗浄もしやすいことが利点です。
広口プラスチック容器は、常温での使用が推奨されています。口部規格はスクリュー式ガラスびんと同じです。
まとめ
まとめ
プラスチック容器には複数の種類があり、素材や形状によってその特徴が異なります。
耐熱性が高く電子レンジでの加熱にも対応するもの、強度に優れ衝撃に強いものなど、長所・短所が異なります。素材ごとの特徴により適する用途も違うため、それぞれの特色を理解したうえで自社の商品に適したプラスチック容器を選びましょう。
日硝実業では、さまざまなプラスチック容器を取り揃えています。中身や使い方に合わせて最適なものを選べるため、プラスチック容器をお探しの方はぜひチェックしてください。
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