エコパッケージとは?注目が集まっている理由や具体的な取り組みを紹介

日硝実業株式会社|NISSHO JITSUGYO CO,.LTD.

環境問題への関心の高まりから「エコパッケージ」が世界中で注目されています。企業のブランド価値向上にもつながるため、昨今は多くの企業で導入が加速しています。

本記事では、エコパッケージの基本から、SDGsとの関連性、国内外の企業の先進的な取り組みまでわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • エコパッケージの定義と注目される背景
  • エコパッケージの具体的な取り組み
  • エコパッケージ導入のメリットと成功のポイント
目次

エコパッケージとは

エコパッケージとは

エコパッケージとは、環境負荷を減らすために、環境配慮の原則「4R」の概念をデザインに取り入れたパッケージを指します。4Rは、以下の英単語の頭文字です。

  • Refuse(リフューズ):不要なものはもらわない・買わない
  • Reduce(リデュース):使う資源の量・ごみの発生量を減らす
  • Reuse(リユース):一度使ったものを繰り返し使う
  • Recycle(リサイクル):再資源化する

エコパッケージは、4Rを意識し、製品の企画から設計、製造、流通、使用、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体で環境負荷を減らすことが可能です。単に「環境に良いパッケージ」という意味合いではなく、ライフサイクル全体において環境への影響を最小限に抑えることを目指しています。

エコパッケージに注目が集まっている背景

エコパッケージに注目が集まっている背景

昨今、海洋プラスチック問題をはじめとする環境破壊の深刻化が問題です。世界的にSDGs達成への機運が高まり、持続可能な社会を目指す中で、消費者の環境意識も向上しています。

企業にとっても、環境負荷の少ないエコパッケージの導入は責務です。ここでは、エコパッケージに注目が集まっている背景について解説します。

脱プラスチック・減プラスチックが求められている

脱プラスチック・減プラスチックが求められている

世界的にプラスチックごみによる海洋汚染や、マイクロプラスチックによる生態系への影響が深刻化していることから、国際的に「脱プラスチック」の機運が高まっています。

国連環境計画(UNEP)によれば、毎年数百万トンものプラスチックが海洋に流出し、生態系や人間社会に甚大な被害を与えているとされ、早急な対応が求められています。この世界的な動きを受け、日本でも「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」が2022年の4月に施行されました。

これにより、企業には使い捨てプラスチックの削減やリサイクル推進が強く求められるようになったのです。

その結果、紙やバイオマス素材、リサイクルプラスチックといった環境負荷の低い代替素材を使ったエコパッケージへの切り替えが急速に進められています。

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速している

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速している

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林などによる吸収量を差し引き、実質ゼロにする取り組みのことです。

2015年のパリ協定を契機に、世界各国で「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けた動きが加速しており、日本政府もその実現を宣言しました。各業界に対し、CO2排出量の大幅な削減を強く求めている状況です。この動きに呼応して、企業ではパッケージの製造・輸送・廃棄といったライフサイクル全体におけるCO2削減が、重要な経営課題の一つとなりつつあります。

軽量化による輸送効率の向上や、植物由来の素材への転換など、エコパッケージの導入はカーボンニュートラル実現に向けた有効な一手として、注目度はますます高まっていくでしょう。

カーボンフットプリントとは?注目を集める理由や算定方法、取り組みをわかりやすく解説

SDGs・ESG経営の考えが広まっている

SDGs・ESG経営の考えが広まっている

国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」は、今や世界中の企業や政府にとって達成すべき共通目標として位置づけられています。

とくにエコパッケージの導入は、廃棄物削減を目指す目標12「つくる責任 つかう責任」や、CO2排出量抑制に関わる目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に直接貢献する重要な取り組みといえるでしょう。近年では、投資家が企業の将来性を判断する上で、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を重視する「ESG経営」への関心も急速に高まっています。

こうした潮流のなかで、エコパッケージへの積極的な切り替えは、企業が環境への責任を果たしていることを可視化する具体的なアクションとして注目されています。

エコパッケージの具体的な取り組み

エコパッケージの具体的な取り組み

エコパッケージへの取り組みは、単に素材を変えるだけではありません。容器の軽量化による輸送効率の向上、リサイクルしやすいシンプルな設計、詰め替え用製品の提供など、多角的なアプローチが存在します。

ここでは、国内外の先進企業が実践している具体的なエコパッケージの取り組みをいくつかご紹介します。

包装の無駄をなくす

包装の無駄をなくす

エコパッケージの取り組みのひとつが、商品の保護に必要な最小限の包装へと見直し、過剰包装をなくすことです。

具体的には、「包装材の枚数を減らす」「厚みを薄くする」「個包装をなくす」「余分な緩衝材を使わない」といった工夫が挙げられます。包装資材の使用量を削減することで、森林資源や石油資源といった限られた資源の消費を抑えることが可能です。

また、パッケージの軽量化・小型化によって一度に輸送できる量が増えるため、輸送時の燃料使用量やCO₂排出量も削減できるでしょう。物流コストの低減にもつながることから、環境面だけでなく経済面でも大きなメリットをもたらす取り組みといえます。

詰め替えパッケージを採用する

詰め替えパッケージを採用する

シャンプーや洗剤、食品、化粧品などの消耗品では、詰め替え用パッケージの導入が広がっています。これは、本体容器を繰り返し利用し、中身だけを補充する形式で、容器の再利用を促進し資源の循環に貢献する取り組みです。

新たな本体容器の製造を減らせるため、プラスチックの使用量を抑制できるほか、容器ごみの発生量そのものも削減できます。焼却や埋め立てによる環境負荷の低減にもつなげることが可能です。

消費者にとっても、本体容器を毎回購入しなくて済むため、費用面や手間の面でもメリットがあり、環境への配慮と利便性を両立できる効果的な方法といえるでしょう。

環境負荷の低い梱包・包装材に切り替える

環境負荷の低い梱包・包装材に切り替える

エコパッケージへの取り組みとして、従来のプラスチックや化石燃料由来の素材から、環境負荷の少ない素材へと切り替える動きが進んでいます。これは脱プラスチックやカーボンニュートラルの実現に直接貢献できる方法です。

実際に、紙や植物由来のバイオマスプラスチック、再生プラスチックなど、多様な選択肢が登場しており、各企業が製品特性に合わせて採用を進めています。

ここでは、実際にエコパッケージとして使用されている代表的な素材とその特徴について、具体的に見ていきましょう。

紙は、再生可能な森林資源を原料とし、リサイクル性や生分解性にも優れた代表的なエコ素材です。なかでも、適切に管理された森林の木材から作られたことを示す「FSC認証紙」や再生紙は、環境に配慮した素材として積極的に選ばれています。

飲料パックや菓子箱、テイクアウト容器など、脱プラスチックを目指すさまざまなパッケージに広く活用されている点も特徴です。

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビ、非可食バイオマスといった植物由来の資源から作られており、化石燃料である石油資源の消費を抑えられる点が特徴です。

また、成長過程でCO₂を吸収するため、燃焼時にCO₂を排出しても大気中のCO₂総量を増やさない「カーボンニュートラル」に貢献できる素材として注目されています。

バイオマスプラスチックは、食品トレーなどのパッケージやシュリンクフィルムなどに利用が広がっている素材です。

リサイクルプラスチック

リサイクルプラスチック

リサイクルプラスチックとは、使用済みのプラスチック製品を回収・選別・洗浄し、再び原料として利用するものです。新たな石油資源の採掘を抑え、製造時のCO₂排出量や最終的な廃棄物の削減に貢献します。

とくに近年注目されているのが、使用済みペットボトルから新たなペットボトルを製造する「ボトルtoボトル」という水平リサイクルです。資源を高品質な状態で循環させる先進的な取り組みとして、多くの企業で採用が進められています。

生分解性プラスチック

生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、土や水中の微生物の働きによって、最終的に水と二酸化炭素にまで分解される性質を持つプラスチックです。従来のプラスチックのように自然環境中に長期間残留することがないため、深刻化する海洋プラスチック問題や土壌汚染の対策として期待が高まっています。

バガス

バガス

バガスは、サトウキビから砂糖を搾ったあとの「搾りかす」を原料とする非木材系のパルプ素材です。本来は廃棄されることが多い副産物を有効活用するため、持続可能性が高いエコ素材として注目されています。

また、比較的高い強度と耐水性を備えており、食品トレーや弁当・惣菜容器など、紙の代替素材として活用の幅が広がっています。

ガラス瓶

ガラス瓶

ガラス瓶は、繰り返し洗浄・再利用できるリターナブル容器の代表格で、調味料や飲料の容器として古くから活用されています。中身の品質を長期間保つ性能に加え、高級感のある見た目も魅力のひとつです。

割れやすさという課題はあるものの、資源を何度も循環させられるリサイクル性の高さから、持続可能なパッケージとして再びその価値が見直されています。

製造工程を見直す

製造工程を見直す

パッケージの素材だけでなく、その製造過程における環境負荷を減らすことも重要です。例えば、工場で使う電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーに切り替えることは、サプライチェーン全体の脱炭素化に貢献します。

また、生産ラインの非効率な部分を見直す、エネルギー消費の少ない最新機材を導入するなどの取り組みも有効です。こうした地道な製造工程の見直しによって、製造時のエネルギー消費そのものを抑え、温室効果ガスの排出量を直接的に削減できます。

二次利用できるパッケージをデザインする

二次利用できるパッケージをデザインする

商品を使用し終えた後も、パッケージを捨てずに別の用途で再利用できるようにデザインするアプローチも注目されています。例えば、デザイン性の高いお菓子の缶を小物入れにしたり、おしゃれなドリンクボトルをペン立てにしたりと、パッケージに新たな価値を持たせるのです。

この取り組みは、ごみの発生を楽しく抑えられるだけでなく、消費者にとっては商品以上の満足感を得られます。結果的に、ブランドへの愛着やリピート購入にもつながる、創造的で効果的なエコアクションといえるでしょう。

パッケージデザイン例|デザインによる効果やパッケージのアイデアをご紹介

エコパッケージを導入するメリット

エコパッケージを導入するメリット

エコパッケージの導入は、環境保護という社会的課題の解決に直結する取り組みです。再生可能素材の活用や省エネルギーな製造工程は、SDGsやカーボンニュートラルなど国際的な目標の達成にも貢献します。

また、環境配慮の姿勢は、SDGsやESG経営への積極的な対応として評価され、企業イメージやブランドの信頼性向上にもつながります。環境意識の高い消費者や投資家からの支持を得やすくなることで、継続的な商品購入や資金調達の面でも好影響を与えるでしょう。

さらに、同じ価値観を持つ企業・団体との新たな協業の機会にもつながり、ビジネスの幅を広げるきっかけにもなります。

エコパッケージは、企業としての社会的責任と経済的成長を両立させる、今後ますます重要性を増す戦略的な取り組みといえるでしょう。

エコパッケージを導入するポイント

エコパッケージを導入するポイント

エコパッケージ導入を成功させるには、「環境への配慮」とパッケージ本来の役割である「製品の保護」を両立させることが不可欠です。輸送中や店頭での陳列時に求められる耐久性・耐熱性・防水性など、必要な強度を十分に確認しましょう。

また、製品の見た目や、食品であれば味や香りを損なわないかといった品質保持の観点も重要です。自社が目指すパッケージの設計を明確にし、専門知識を持って親身に相談に乗ってくれる委託先を見つけることがエコパッケージ導入の成功につながります。

パッケージングの専門企業である日硝実業では、包材の軽量化、バイオマスプラスチック包材、リユースしやすい包材の提案など、エコパッケージ導入に向けた幅広いご提案が可能です。さらにフードロス削減にも繋がる「中身を使い切りやすい包材」といった、環境と実用性を両立した提案もおこなっています。

お客様のアイデアを企画から製造までワンストップでカタチにできるため、ぜひ一度ご相談ください。

エコパッケージの導入事例

エコパッケージの導入事例

すでに多くの企業がエコパッケージ導入を進めています。ここでは国内外の先進的な企業の取り組みとして、食品メーカーとコンビニエンスストアの事例をご紹介します。自社の製品やサービスにどう活かせるか、検討材料にしてみてください。

食品メーカーA社の事例

食品メーカーA社の事例

世界的な食品・飲料メーカーであるA社は、日本でも人気のあるチョコレート菓子の個包装を、従来のプラスチックから紙素材へと変更しました。この取り組みは積極的なPRや口コミで大きな注目を集め、消費者に対し、食品包装と環境問題のつながりを再認識させるきっかけとなりました。

A社は紙パッケージへの変更により、年間で約380トンものプラスチック削減に貢献したと発表しています。企業の具体的なアクションが成果を生んだ好事例です。

コンビニエンスストアB社の事例

コンビニエンスストアB社の事例

コンビニエンスストアB社は、おにぎりやサンドイッチ、弁当といった多くの人が手にする主力商品において、環境配慮型パッケージへの切り替えを積極的に進めています。具体的には、弁当容器には植物由来のバイオマスプラスチックを、一部のパン包装にはバイオマスインキを使用することで、石油由来プラスチックの使用量削減を図っています。

消費者にとって最も身近な店舗の一つであるコンビニエンスストアが、環境に配慮した商品を当たり前に提供することは、多くの人々のサステナブルな消費行動を自然に後押しする影響力の大きい取り組みといえるでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、エコパッケージが注目される背景から具体的な取り組み、導入のメリットまでを解説しました。環境問題への意識が高まるなか、エコパッケージは企業の社会的責任を果たす手段であると同時に、ブランド価値を向上させる重要な戦略となっています。

ただし、自社製品に最適なパッケージを選ぶには、素材の特性や品質保持など専門的な知見が不可欠です。

日硝実業では、軽量化や代替素材の提案など、お客様の課題に寄り添い最適なエコパッケージをワンストップでご提案します。私たちはSDGsへの取り組みを推進しており、お客様と共に持続可能な社会の実現を目指します。エコパッケージの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次