「カーボンフットプリント」とは、製品やサービスの生産から廃棄までの過程で排出するCO2量を示す数値、もしくはその数値を表示することです。各企業が環境負荷の削減に取り組むなか、カーボンフットプリントへの関心も高まっています。
この記事では、カーボンフットプリントの概要を解説したうえで、企業における代表的な取り組みを12例ご紹介していきます。
- カーボンフットプリントを活用し、CO2排出量の削減に取り組む企業
- CO2排出量の削減目標を掲げ、実際に成果をあげている企業
- CO2排出量を見える化し、消費者へ環境に配慮した行動を促している企業
カーボンフットプリントとは
カーボンフットプリントとは
「カーボンフットプリント」とは、企業の生産活動や個人の生活において排出された温室効果ガスの量を、CO2に換算した数値、もしくはその数値を表示する仕組みのことです。
具体的には、製造工程を「原材料調達」「生産」「流通」「使用維持管理」「廃棄リサイクル」といった段階に分け、各段階ごとのCO2排出量と、合計のCO2排出量をそれぞれ掲載します。
CO2排出量を確認できることで、消費者はより環境に配慮された商品を選択することが可能になります。
カーボンフットプリントは、温室効果ガスの削減に向けた効果的な取り組みの一つとして注目を集めており、2023年には経済産業省・環境省によるガイドラインも公表されました。
企業におけるカーボンフットプリントの取り組み事例12選
企業におけるカーボンフットプリントの取り組み事例12選
企業はさまざまな形で、カーボンフットプリントに関する取り組みを進めています。以下では、代表的な12社の事例をご紹介していきます。
食品加工メーカーA社
食品加工メーカーA社
食品加工メーカーのA社は、自社で製造するハム製品の一部のパッケージに、カーボンフットプリントを表示しています。ロースハム(58g)のCO2排出量が420g、ベーコン(48g)は380gとなっています。
大手流通グループB社
大手流通グループB社
ショッピングモールやスーパーマーケットを運営するB社では、プライベートブランド商品にカーボンフットプリントを表示しています。キャノーラ油(500g)は、1個あたりのCO2排出量が1.81kgとなっており、これは杉の木1本が2.5ヶ月掛けて吸収する二酸化炭素に相当する量です。
文房具メーカーC社
文房具メーカーC社
文房具メーカーのC社は、2010年に業界初となるカーボンフットプリントの表示を行いました。当時新発売だった油性ペンは、1本あたりのCO2排出量が153gでした。
C社は現在も引き続き、環境問題に配慮した商品の開発に力を入れており、グリーン購入ネットワークにも参加しています。
OA機器メーカーD社
OA機器メーカーD社
OA機器メーカーのD社は、製品別にカーボンフットプリントを表示しています。例えば、ある複合機のカーボンフットプリントは917kgですが、別の複合機は631gと、286gもの差があります。
消費者は新しく導入しようとしている機種と、現在の機種を比較し、どちらがよりCO2排出量を抑えられるかを比較したうえで購入することが可能です。
大手食品メーカーE社
大手食品メーカーE社
2023年、大手食品メーカーE社は、酪農家から収集したデータに基づいて、国内で初めて、牛乳のカーボンフットプリントを算定しました。その結果、牛乳生産におけるCO2削減量のうち約91%が、原材料を購入・輸送する工程で発生していることが分かりました。
また、E社は牛乳以外にも、自社製品のミルクチョコレートのカーボンフットプリントも表示しています。
腕時計ブランドF社
腕時計ブランドF社
時計メーカーのF社は、自社が展開する腕時計ブランドのカーボンフットプリントを算定しています。その結果、本体部分の原材料である「ステンレスや銅合金の調達」が、CO2排出量のほとんどを占めることが判明しました。
また、F社は太陽光や室内に差し込む光を電気エネルギーに換えて時計を動かす技術を開発・採用し環境に配慮した腕時計を製造しています。この取り組みが認められ、腕時計ブランド初のカーボンフットプリント認証を取得しました。
アパレルブランドG社
アパレルブランドG社
アパレルブランドG社は、2020年にファッションブランドとしては世界で初めて、カーボンフットプリントの導入を発表しました。
また、導入後も自社製品の素材にサトウキビやカニの殻、ペットボトルなどのリサイクル素材を使用し、カーボンフットプリントを減らす取り組みを続けています。特に、シューズでは1年間で10%以上の削減に成功しました。
総合化学メーカーH社・データ通信システムグループI社
総合化学メーカーH社・データ通信システムグループI社
総合化学メーカーH社は、データ通信システムを扱うグループI社と協力し、カーボンフットプリントを算出する基盤を製作しました。この基盤は、温室効果ガスの排出量を算出し、製造過程や使用段階での排出量を詳しく分析することが可能です。
2022年から、H社は製作した基盤を利用して、自動車部品メーカーにカーボンフットプリントのデータを提供しています。自動車や電子部品の材料となる「機能樹脂製品」が主な対象です。
化粧品メーカーJ社
化粧品メーカーJ社
化粧品メーカーJ社は、環境省が実施している、カーボンフットプリントのモデル事業に参加しています。具体的な取り組みとして、製品のライフサイクルにおけるCO2排出量を数値化し、CO2削減に向けた行動計画を立てています。
2022年には、ボトルタイプとレフィルタイプの化粧水を開発し、それぞれのカーボンフットプリントを算出しました。その結果、レフィルタイプはボトルタイプに対して、カーボンフットプリントが約28%低いと判明しました。
大手電機メーカーK社
大手電機メーカーK社
大手電機メーカーK社のデザイン本部は、自社製品のユーザーが排出したCO2排出量を把握できるアプリを開発しました。このアプリでは、ユーザーのCO2排出量に応じて、CO2削減に取り組む団体へ寄付することが可能です。
支援先は、森林の保護や植樹、サンゴの植え付け、再生可能エネルギー発電所の建設など、自分が応援したい団体を選択できます。ユーザーが排出した分のCO2を相殺することで、環境負荷を軽減できる仕組みです。
総合スポーツメーカーL社
総合スポーツメーカーL社
総合スポーツメーカーL社は「2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」ことを目標に掲げています。その取り組みの一環として、製品のカーボンフットプリントを表示し、CO2削減に取り組んでいます。
2023年には、カーボンフットプリントを抑えたスニーカーを開発しました。このスニーカーは、同社の平均的なスニーカーと比べて、CO2の排出量が約4分の1まで削減されています。
セレクトショップM社
セレクトショップM社
セレクトショップを運営しているM社は、2030年までに「CO2排出量を15%削減する」と発表し、2021年にはすでに16.6%の削減を達成しました。
同社では、CO2排出量を減らす取組の一環として、自社で販売するTシャツのカーボンフットプリントを表示しています。今後も環境に配慮した素材を使用したり、工場に再生可能エネルギーを導入したりして、さらなるCO2排出量の削減を目指しています。
まとめ
まとめ
カーボンフットプリントを導入し、CO2削減に向けた取り組みを行う企業を12社ご紹介しました。食品加工メーカーからアパレル、化粧品メーカーに至るまで、環境に配慮した製品作りが広がっています。
日硝実業株式会社では、輸出用容器の規制をクリアした製品の開発が可能です。環境に配慮した容器の提案・開発を行い、規制の厳しい輸出市場でも柔軟に対応できる製品を提供できます。
カーボンフットプリントの導入を検討している方は、ぜひ日硝実業株式会社へご相談ください。
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