シュリンク包装は多くの商品の包装に使われている便利な手法です。商品の保護はもちろん、商品名や説明書きをフィルムに直接印刷できるため、使い勝手の良さが特徴です。
ただし、すべての商品に適しているわけではありません。注意点を理解したうえで採用を検討することが重要です。この記事では、シュリンク包装の基本からメリット、加工方法までをわかりやすく解説します。
「シュリンク包装がどんなものかわからない」「新商品のパッケージを何にすべきか迷っている」といった方は、ぜひ参考にしてください。
- シュリンク包装の概要と主なメリット
- シュリンク包装の種類
- シュリンク包装の加工方法と注意点
シュリンク包装とは
シュリンク包装とは
シュリンク包装は商品の形にぴったりとフィットする包装手法です。「シュリンク(shrink)」は英語で縮むという意味があり、熱を加えると収縮する特殊なフィルムを使用するため、この名前が付けられました。
シュリンク包装はどのような形状の容器でもしっかりと密着するため、書籍やCD、食品やペットボトル、調味料、雑貨や化粧品など、幅広い分野で採用されています。実際に店頭の商品を観察すると、非常に多くのアイテムでこの包装が使われていることがわかります。
シュリンク包装のメリット
シュリンク包装のメリット
シュリンク包装のメリットは以下の5つです。
- 商品を保護できる
- PR面積を大きくとれる
- 商品の集積・固定が可能
- 分別しやすい
- 加工物のパッケージ変更に対応しやすい
順番に解説していきます。
商品を保護できる
商品を保護できる
シュリンク包装は商品の大部分を覆うことができるため、商品をほこりや汚れから守れます。また、耐寒性・耐水性に優れているため、配送時の濡れや屋外の陳列時に濡れてしまうことがありません。
また、一度破るともとに戻せない構造になっているため、未開封であることの証明にもなり、安全性や信頼性の向上にもつながります。
PR面積を大きくとれる
PR面積を大きくとれる
シュリンク包装は表示面積が広く、フィルム全体に印刷が可能なため、PR面積を広くとれます。
ブランドカラーやロゴを前面に打ち出せば、陳列されている商品のなかでも自社製品が目立つようにデザインを工夫できます。パッと見ただけで自社商品とわかる視認性の高さが売上アップにもつながるでしょう。シュリンク包装の面積を最大限に活かせるデザインを考えれば、過剰な広告宣伝が必要なくなります。
注意書きが必要な商品であっても、スペースに余裕をもって表記できるため、読みやすくわかりやすい表示が可能です。
商品の集積・固定が可能
商品の集積・固定が可能
シュリンク包装は、商品の形に合わせてフィルムがぴったり収縮するため、サイズや形状が異なる商品でもまとめて包装できます。化粧品や健康食品、洗剤などのセット販売にも向いており、テープや段ボールを使わずに固定が可能です。
また、段ボールの板に商品を乗せて全体をシュリンクすれば、輸送時にも荷崩れを防止でき、緩衝材の使用量も最小限に抑えられます。シュリンク包装を活用した集積・固定性は、物流・在庫管理の効率化にもつながります。
分別しやすい
分別しやすい
シュリンク包装は薄いフィルムを使用しており、誰でも簡単にはがせるのが特長です。商品と包装を容易に分けられるため、リサイクル時の分別作業がスムーズに行えます。
ペットボトルであれば、フィルム部分はプラスチックごみとして、ボトル本体は自治体のルールに沿って処分が必要です。この際、フィルムを簡単にはがせることで、分別に対する心理的なハードルを下げられます。
その結果、消費者のリサイクルの取り組みを後押しでき、リサイクル活動を広げることにつながります。さまざまな商品に対応しつつ、環境負荷の軽減にも貢献できる点は、環境への配慮が求められる現在において重要な視点といえるでしょう。
加工物のパッケージ変更に対応しやすい
加工物のパッケージ変更に対応しやすい
商品自体に印字しないシュリンク包装はパッケージ変更に柔軟に対応できるため、コラボ企画や限定パッケージデザインなどのイベントにも活用できます。例えば、期間限定のキャラクターとのタイアップや季節ごとの限定パッケージなどでも、商品の中身はそのままに、フィルムの印刷だけで特別仕様に切り替えられます。
パッケージデザインを変更すると、普段その商品に関心を持たない層への訴求や、SNSで話題になりやすい視覚的な仕掛けとなり、新たな顧客層の獲得にもつながるでしょう。販売戦略に柔軟に対応できる包装方法として、マーケティング面でも大きなメリットを持っているのがシュリンク包装の特長です。
シュリンク包装の種類
シュリンク包装の種類
| 種類 | 特徴 | |
| 加工物全体を覆うタイプ | L型 | 商品全体を角に沿って包むCD・書籍・化粧品などで活用 |
| ピロー型 | 枕のように包む(縦・横)カップ麺・菓子パンなどで活用 | |
| 加工物の一部を覆うタイプ | ラベルシュリンク | ボトル型の商品のキャップ部分以外の側面を包装するペットボトル・缶・医薬品などで活用 |
| キャップシュリンク | キャップ部分のみキャップが付いており、「キャップシール」ともいわれる 飲料や化粧品、医薬品などで活用 | |
| Rリールシュリンク | 容器の底以外を覆うシャンプー・リンス・歯磨き粉・スプレーボトルなどで活用 |
シュリンク包装には上記の5種類があり、それぞれ特徴が異なります。各種類について詳しく確認していきましょう。
加工物全体を覆うタイプ
加工物全体を覆うタイプ
商品全体を覆うタイプのシュリンク包装にはL型とピロー型の2種類があります。手法が異なるので、商品の形状に応じて適した方法を選びましょう。
L型
L型
商品全体を覆うシュリンク包装で、商品の角に沿った形で包みます。主に箱型の商品に使用され、以下のものが挙げられます。
- ティッシュボックス
- CD
- DVD
- 書籍
- 化粧品
- お菓子や冷凍食品
- 医薬品
商品をまるごと覆うため、外部からの汚染や損傷を防げ、品質保持や未開封の証明としても活用可能です。
ピロー型
ピロー型
ピロー型は枕のように全体を包むことから名前が付けられています。商品の前面にデザインを施せるため、多くの商品で使われるシュリンク包装です。商品の形状に応じて縦ピローか横ピローかを選びましょう。
主な商品の具体例は以下のとおりです。
- カップ麺
- 紙パックのお酒
- 菓子パン・焼き菓子
- 錠剤・カプセル
- 歯ブラシ
L型と同じで商品全体を包んでいるため、外部からの汚染や損傷、品質保持、未開封の証明ができます。
加工物の一部を覆うタイプ
加工物の一部を覆うタイプ
加工物の一部を覆うタイプのシュリンク包装は3種類あります。
- ラベルシュリンク
- キャップシュリンク
- リールシュリンク
各手法の特徴について紹介していきます。
ラベルシュリンク
ラベルシュリンク
ラベルシュリンクは、ボトル型の商品のキャップ部分以外の側面を包装する方法です。包装部分に商品名を印字するケースが多く、商品表示ラベルとして使用できることから、ラベルシュリンクと呼ばれています。
ラベルシュリンクが用いられる主な商品例は以下のとおりです。
- ペットボトル
- 化粧品
- 缶
- ビン
- 医薬品
キャップ部分は包装されていないため、未開封と証明できる処理が別途必要です。キャップ部分をシュリンク包装したい場合は次に解説するキャップシュリンクをつけましょう。
キャップシュリンク
キャップシュリンク
キャップシュリンクはキャップ部分のみを包装する方法です。シュリンク包装の特徴を活かし、キャップシュリンクが施された商品が未開封であることを証明できます。ジャムなどのキャップが付いている食品・飲料や化粧品、医薬品などに使われています。
シュリンク包装されるのはキャップ部分のみなので、商品の胴体部分には別途、包装や商品への印刷が必要です。
Rリールシュリンク
Rリールシュリンク
Rリールシュリンクは容器の底面以外の部分を覆う手法で、底面が平らではない商品やチューブ型の商品などに使われています。商品全体をしっかりと保護しつつ、開封されていないことを証明できます。
Rリールシュリンクが主に使われている商品例は以下のとおりです。
- シャンプーやリンス
- 歯磨き粉
- スプレーボトル
- 調味料のボトル
商品の大部分を包んでおり、商品のラベルとしても機能するため、ラベルシュリンクとキャップシュリンクのメリットをあわせもっています。
シュリンク包装の加工方法
シュリンク包装の加工方法
シュリンク包装の加工方法は以下の2種類があります。
- 熱風方式
- 蒸気方式
順番に解説していきます。
熱風方式
熱風方式
熱風方式は、ヒーターとファンを使い、熱風を商品にあててフィルムを収縮させる方式です。なかでも「トルネード式シュリンカー」は、熱風を旋回させながら全体をムラなく加熱できるため、複雑な形状でも美しく仕上げやすいです。
近年、実用性の高さから熱風方式を採用する企業が増えています。日硝実業でも、トルネード式シュリンカーによる高精度なシュリンク加工に対応しており、2機のシュリンカーによって多様な容器でも均一な仕上がりで包装可能です。
加工後は、目視による検査を実施、破れ・シワ・加熱不足などの不良をチェックし、品質の高い製品提供に努めています。
蒸気方式(スチームシュリンク)
蒸気方式(スチームシュリンク)
蒸気方式は、スチームトンネルを通して水蒸気によってフィルムを加熱・収縮させる方法です。蒸気により、フィルム全体に均一に熱を伝えるため、複雑な形状や曲面への密着性が高く、ボトルや瓶詰食品、洗剤などに多く利用されています。
ただし、大量の蒸気を発生させる設備が必要なため、初期導入コストが高い点がデメリットです。また、加工後に商品表面へ水滴が残ることがあり、除去の手間が発生することもあります。導入の際には、設備投資や水滴処理への対応を事前に検討しましょう。
シュリンク包装の注意点・ポイント
シュリンク包装の注意点・ポイント
シュリンク包装は薄くて破れやすい素材を使用しているため、運搬中や陳列中にフィルムが破損してしまうことがあります。一度破れてしまうと、未開封かどうかの判別がつかなくなるため、商品として販売できなくなるケースもあります。
また、収縮の過程で熱が不均一に伝わると、フィルムのよれによるシワや仕上がりにムラが生じるリスクも考慮しなければいけません。さらに、加熱前の段階でフィルム内部にほこりや異物が入り込んでしまうと、完成品の外観や衛生面に影響を及ぼすこともあります。
このようなリスクを避けるためには、シュリンク加工の品質だけでなく、検品・品質管理まで徹底している業者を選ぶことが重要です。破れやムラ、異物混入といった仕上がりのトラブルは、見た目の印象だけでなく、商品価値や信頼性にも影響を与えます。
そのため、加工だけでなく検査工程までしっかり管理されているかどうかは、委託先を見極めるうえでの大切なチェックポイントとなります。上記の注意点・ポイントを把握したうえで商品に適したシュリンク包装を選択しましょう。
まとめ
まとめ
シュリンク包装はさまざまな商品に使用されている包装手法です。商品形状にぴったりフィットすることで、見た目の美しさと機能性を両立できるのが特徴です。
シュリンク包装には以下のメリットがあります。
- 商品を保護できる
- PR面積を大きくとれる
- 商品の集積・固定が可能
- 分別しやすい
- 加工物のパッケージ変更に対応しやすい
また、商品の形状や特性に応じて加工方式(熱風方式・蒸気方式)を選ぶことで、未開封の証明やブランドPR効果を高められます。
日硝実業株式会社では、高性能なトルネード式シュリンカーを導入し、予熱と本加熱を分けることで、より美しく、安定した仕上がりを実現しています。さらに、加工後の検品体制も整えており、品質面でも安心してお任せいただけるでしょう。
シュリンク加工を検討中の方は、ぜひ日硝実業へご相談ください。商品仕様やデザイン、流通形態に合わせた最適なご提案をいたします。












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