食品包装は、食品を空気や湿気、光、微生物といったさまざまな外的要因から保護し、その価値と品質を維持するために不可欠な存在です。
また、食品の安全性を確保するだけでなく、製造・輸送・保管といった流通を支え、私たちの豊かな食生活を実現する役割も担っています。
この記事では、食品包装の基本的な役割から、素材や形状による種類、関連する法律、選定のポイントまで、詳しく解説します。
- 食品包装の役割
- 食品包装の種類
- 食品包装の選び方
食品包装とは
食品包装とは

食品包装とは、食品をさまざまな外的要因から保護し、その価値と品質を製造から消費まで維持するために、適切な材料や容器で包む技術、またはその状態のことです。中身の情報を伝えたり、扱いやすくしたりする機能も含まれます。
食品衛生法においては「容器包装」という名称で、以下のように定義付けられています。
⑤ この法律で容器包装とは、食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
食品包装は、食品の安全を守り、スムーズな流通を支え、消費者の食生活を便利で豊かにするために欠かせない存在です。
食品包装の役割
食品包装の役割

食品包装の役割は、食品を包むだけではありません。製造から流通、そして消費者の手に渡り消費されるまで、すべての段階で食品を守り、価値を高めることが求められます。ここからは、食品包装の主要な4つの役割について解説します。
食品の保護と品質保持
食品の保護と品質保持
食品包装の基本的かつ重要な役割は、中身の食品を守り、品質をできるだけ長く保つことです。
食品は非常にデリケートです。空気や湿気、光、微生物、ほこり、輸送中の衝撃や荷重といった、さまざまな外的要因によって品質が容易に低下するリスクがあります。
例えば、酸化や湿気による食感の劣化、光による変色やビタミン分解、微生物の侵入による腐敗などが起こり得ます。
しかし、適切な包装を施すことで、これらの要因から食品を物理的・化学的に守ることでき、品の鮮度や風味、栄養価、安全性を長期間にわたって維持できるのです。
流通・保管の効率化
流通・保管の効率化
食品包装は、生産者から消費者へ製品を届けるまでの流通プロセスを円滑にする役割も担っています。
瓶詰や缶詰、段ボール箱といった包装によって形状やサイズが統一されることで、トラックへの積み込み、倉庫での保管、店舗での陳列が容易になります。その結果、輸送コストや保管スペースの削減、物流現場での作業効率の向上が期待できるでしょう。
また、食品包装は、食品を適切な量や個数に小分けする役割も果たしています。これにより、消費者は必要な量だけを購入しやすくなり、販売側も在庫管理や棚卸しがしやすくなるため、サプライチェーン全体にメリットをもたらします。
消費者にとっての利便性向上
消費者にとっての利便性向上
食品包装は、消費者が食品を購入してから使い終わるまでのプロセスにおいて、使いやすさを向上させる役割も果たしています。
例えば、電子レンジ対応のレトルトパウチや、そのまま食卓に出せる冷凍食品トレー、ハサミを使わず手で簡単に開封できる切り込み、液体を注ぎやすいキャップなど、食品包装には調理や飲食の手間を省く工夫が多く施されています。
開封後も再密封できるチャック付き袋や、注ぎ口が詰め替えやすいように設計されたパウチなども、消費者の利便性を高める重要な機能です。
情報伝達と販売促進
情報伝達と販売促進
食品包装は中身の食品に関する情報を伝えたり、商品の魅力をアピールしたりするコミュニケーションツールとしての役割も担っています。
あわせて、食品表示法などに基づき、消費者が安全に食品を選び、消費するために不可欠な情報を分かりやすく表示しなければなりません。
食品包装には、主に以下の情報が記載されています。
- 原材料名
- 内容量
- 賞味期限・消費期限
- 保存方法
- 製造者
- アレルゲン情報 など
また、パッケージデザイン、色使い、キャッチコピーなどで競合商品と差別化を図り、消費者の購買意欲を刺激するのも、食品包装の役割の1つです。
食品包装の種類
食品包装の種類

食品包装は、包む食品の特性や流通ルート、販売方法により多種多様な種類が存在しますが、「素材」「形状・形態」「機能・目的」の3つの軸で分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
素材による分類
素材による分類
食品包装に使われる素材は、食品の品質保持能力に直結します。そのため、素材によって異なる物理的・化学的特性を理解し、内容物との相性やコストを考慮して選定することが重要です。
食品包装に使われる主な素材は以下の4つです。
プラスチック容器の種類や瓶の材料については、以下の記事もご覧ください。
瓶が包装材料に使われる理由は?瓶を使うメリットも中身ごとに紹介
| 素材 | 特徴 | 主な用途 |
| プラスチック | ・軽く、加工しやすい ・ほかの素材との組み合わせで高いバリア性を実現できる ・環境対策が必須な点に注意 | 袋、トレー、容器 など |
| 紙・加工紙 | ・軽量 ・環境配慮性が高い ・水・油に弱く、加工が必要 | 外箱、テイクアウト包装 など |
| 金属(缶・箔) | ・高いバリア性 ・耐熱 ・長期保存向き ・重量がありコストが高い点に注意 | 缶詰、レトルト、薬品包装 など |
| ガラス | ・風味保持 ・衛生性が比較的高い ・重量があり、割れやすい点に注意 | 飲料、調味料、瓶詰 など |
形状・形態による分類
形状・形態による分類
食品包装の形状や形態は、その柔軟性により「軟包装」と「硬包装」に分類できます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 区分 | 特徴 | 主な種類 | 主な用途 |
| 軟包装 | ・柔軟性があり軽量 ・加工しやすい | ピロー包装、三方シール袋、スタンドパウチ など | スナック、レトルト、調味料 など |
| 硬包装 | ・形状が固定 ・一般的に保護性が高い | トレー、ボトル・瓶、缶 など | 生鮮食品、飲料、惣菜、缶詰 など |
近年では、環境配慮の観点から、プラスチック使用量の削減などを目的に、硬包装から軟包装へ切り替える動きも見られます。
一方で、高級感の演出や、形状保持が必要な食品の保護には硬包装が不可欠であり、用途に応じて使い分けられています。
機能・目的による分類
機能・目的による分類
食品包装は、食品の安全性や使いやすさを高めるために、特殊な機能が追加されることもあります。
具体的な機能を以下の表にまとめました。
| 機能・目的 | 主な包装 | 特徴 | 代表的な用途 |
| 保存性を高める包装 | 真空包装、ガス充填包装、レトルト包装 | ・酸化や微生物増殖を抑制し、賞味期限の延長や長期保存を可能にする | ハム、鮮魚、スナック菓子、レトルト食品 など |
| 利便性を高める包装 | 易開封包装、レンジ対応包装 | ・開封性に優れる ・容器のまま加熱できる | ヨーグルト、弁当、惣菜、冷凍食品 など |
| 環境配慮型の包装 | バイオマスプラ、紙化パッケージ | ・CO₂削減に貢献 ・リサイクル性向上 | テイクアウト、食品トレー、レトルト外箱など |
食品包装に関する法律
食品包装に関する法律

食品包装には、「中身の食品を安全に保つ」「消費者に正しい情報を提供する」「使用後は環境に配慮してリサイクルできる」などの機能が求められます。
これらを支える法律として、日本では「食品衛生法」「食品表示法」「容器包装リサイクル法」に加え、事故時の責任を定める「製造物責任法(PL法)」があります。
それぞれについて、以下より詳しく見てみましょう。
食品衛生法
食品衛生法
食品衛生法は、飲食による健康被害の発生を防止するために、食品そのものだけでなく、食品に触れる添加物、器具、容器包装の安全基準を定めた法律です。
食品包装に使われる素材は、同法における「器具」「容器包装」に分類され、材質や製造方法に関して厳格な規格基準が定められています。
特に重要なのが、合成樹脂(プラスチック)製の容器包装に対する規制です。安全性が確認された、リストに掲載されている物質のみ使用できる「ポジティブリスト制度」が、2020年6月から施行されました。
ポジティブリスト制度は、欧米などの国際基準と整合させ、より高いレベルでの安全性を確保する目的で導入されました。
事業者は、自社の包装資材がポジティブリストに適合している素材であるかをサプライチェーン全体で確認し、管理しなければなりません。
なお、食品衛生法やポジティブリスト制度については、以下の記事もご参照ください。
食品衛生法の器具・容器包装について解説|改正後の影響や罰則についても紹介
【2025年最新版】ポジティブリスト制度とは?制定の背景や対象範囲、事業者に求められる対応を解説
参考:厚生労働省「食品衛生法」
食品表示法
食品表示法
食品表示法は、消費者が食品を安全に摂取・選択できるよ食品表示法は、消費者が食品を安全に摂取・選択できるよう、容器包装への適切な表示を義務付ける法律です。
以前は「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」に分かれていましたが、2015年の改正により、表示ルールが一元化されました。
食品の包装には、以下のような項目を定められたルール(文字の大きさ、表示場所など)に従って表示する必要があります。
- 名称
- 原材料名(アレルギー物質を含む)
- 添加物
- 内容量
- 賞味期限 または 消費期限
- 保存方法
- 原産国名
- 製造者等の氏名または名称および所在地
- 栄養成分表示(エネルギー、たんぱく質、脂質など)
特にアレルギー表示の欠落や期限表示の誤りは、重大な事故につながるおそれがあるため、包装デザインの制作段階で徹底したチェックが求められます。
容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法は、家庭から排出されるごみの約6割(容積比)を占める容器包装廃棄物を、ゴミではなく「資源」として有効利用し、廃棄物の減量化・再資源化を促進するための法律です。
容器包装を利用して商品を販売する事業者や、容器を製造する事業者は、利用・製造した量に応じて再商品化(リサイクル)する義務を負います。
容器包装リサイクル法の対象となるのは、ガラスびん類、PETボトル類、紙製容器包装、プラスチック製容器包装です。
事業者は、リサイクル委託金を支払うなどの方法で、この義務を履行しなければなりません。
製造物責任法(PL法)
製造物責任法(PL法)
製造物責任法(PL法)は、製品の欠陥が原因で生命や身体、財産に損害が生じた場合、製造業者の過失の有無にかかわらず、被害者が製造業者に損害賠償を求めることができることを定めた法律です。
例えば、包装のシール不良で中身が腐敗して食中毒が起きた場合や、ガラス瓶が通常の使用で割れてけがをした場合は、包装の欠陥として製造業者の責任が問われます。
包装材の品質管理や、出荷時の検査体制を適切に整えることは、企業のリスクマネジメントとして非常に重要です。
参考:消費者庁「製造物責任法」
食品包装の選定で失敗しないためのポイント
食品包装の選定で失敗しないためのポイント

自社の商品に最適な包装を選ぶためには、デザイン性はもちろん、「内容物との相性」「流通形態」「環境への配慮」「コストバランス」の4つの要素を総合的に判断することが大切です。
それぞれの要素を順に確認し、商品の特性やブランド戦略に合った包装を選びましょう。
内容物との相性を確認する
内容物との相性を確認する
食品包装を選ぶ際は、まずは中身の食品との相性を確認しましょう。相性が悪い包装を選ぶと、品質劣化や包装の破損による事故のリスクが生じます。
例えば、ナッツや揚げ物などの油脂分が多く酸化しやすい食品には、酸素バリア性や遮光性に優れたアルミ蒸着フィルムなどが適しています。水分を逃したくない、あるいは吸湿を防ぎたい場合は、水蒸気バリア性を確認しましょう。
みそやキムチ、コーヒー豆のようにガスが発生する食品は、密閉性が高すぎる袋を使うと、内圧で容器が膨張・破裂するおそれがあります。したがって、外部からの空気は遮断しつつ、内部のガスだけを外に逃がす「ガス抜きバルブ」付きの包装を選ぶ必要があります。
商品の流通形態を考慮する
商品の流通形態を考慮する
食品包装は、製造工場から消費者へ届くまでの流通ルートや保管条件も踏まえて選びましょう。
冷凍食品であれば、マイナス20度の環境でもフィルムが硬化して割れない、耐寒性のある素材が必要です。冷蔵食品は結露が発生しやすいため、水に濡れても強度が落ちない耐水性を求められます。
一方、常温食品は、夏場のトラック輸送など、高温・多湿な環境に耐えられる性能が欠かせません。輸送中の振動、落下衝撃、倉庫での積み重ねに耐えられる強度も必要です。
あわせて、積載効率を考慮したサイズ設計を行えば、輸送コストの削減につながるでしょう。
環境への配慮も忘れない
環境への配慮も忘れない
近年、SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりから、食品包装にも環境への配慮が求められています。
環境に配慮したパッケージを導入するには、以下の「3R」の視点が重要です。
- リデュース(Reduce): 包装を薄くする、トレーをなくすなどにより、包装資材の使用を減らす。
- リユース(Reuse): 再利用が可能な容器を採用し、詰め替え利用を促す。
- リサイクル(Recycle): 単一素材(モノマテリアル)化などにより、リサイクルの効率を向上させる。
また、パッケージに「バイオマスマーク」や「FSC認証(森林認証紙)」などの環境ラベルを表示すると、環境への取り組みを消費者に視覚的にアピールでき、ブランド価値の向上に寄与します。
エコパッケージとは?注目が集まっている理由や具体的な取り組みを紹介 – 日硝実業株式会社
コストバランスを見極める
コストバランスを見極める
どれだけ高機能でデザインが優れた包装であっても、コストが見合わなければビジネスとして成立しません。
一般的に、包装資材にかけるコストは商品販売価格の5%が目安といわれていますが、商品カテゴリによって大きく異なります。また、食品包装のコストは素材の単価だけでなく、形状加工費や印刷代、機能性によって変動します。
過剰なスペックはコスト高の要因になる一方、コストを削りすぎたことで破損事故などが起きれば、回収費用や信用失墜により大きな損失をこうむるリスクがあることを覚えておきましょう。
また、生産適性もコストに影響します。例えば、自動包装機で充填する場合、フィルムのスリップ性やヒートシール性が悪いと、ラインが停止したり、不良品が多発したりして、結果的にコストを押し上げます。
まとめ
まとめ
食品包装は、中身の品質と安全を守るのはもちろんのこと、スムーズな物流を支える、消費者の使い勝手を良くする、商品の魅力を伝えるなど、さまざまな役割を担っています。だからこそ、食品包装は、食品の特性や流通形態に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。
自社の商品に最適な食品包装を選べば、商品の価値を最大化でき、ブランドイメージを高められるでしょう。しかし、コストと機能、環境配慮のバランスが取れた包装を選ぶのは容易ではありません。
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