「充填」という言葉は、製造、医療、建設・建築などさまざまな業界で使われています。使用する分野によって作業内容や意味も多様です。
今回は、「職場で充填という言葉を使っているけれど、充填作業とは何か具体的な意味は説明できない」という方に向けて、充填について種類や業界ごとの意味を紹介します。充填について知りたい、内容を理解し自分の業務や研究に役立てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 充填の言葉の意味や定義がわかる
- 充填の種類がわかる
- 充填でどんなことができるかわかる
充填とは
充填とは
充填とは、欠けているところや隙間のあいている箇所にものを詰めて塞ぐことです。
食品・化粧品の製造、医療、建設・建築など、さまざまな業界で使われる用語であり、分野によって使われ方が異なります。例えば、建築業界であれば「ひびの入った箇所を充填する」、食品業界であれば「容器に飲料を充填する」などの使い方をします。
充填をする内容物も、業界や目的によって多様です。建築業界ではモルタルやシーリング材といった充填材、食品や化粧品の製造業ではボトルに詰める製品をさします。
充填の種類
充填の種類
充填の種類は、内容物の形で分けるパターンと計量方式で区別するパターンがあります。
それぞれ具体的な種類をチェックしていきましょう。
内容物の形で分ける充填の種類
内容物の形で分ける充填の種類
内容物の形によって、充填の種類は以下の3つに分類できます。
- 液体充填
- 粘体充填
- 粉体・固体充填
それぞれが使われる分野や充填方法など、内容物ごとの特徴を見ていきましょう。
液体充填
液体充填
液体充填とは、缶や瓶、チューブ、ペットボトルといった容器に液体を一定量詰めることです。液体充填は、食品、薬品、化粧品(化粧水、乳液、美容液)、生活用品(シャンプー、洗剤)などで行われています。
液体充填を行う機会を、液体充填機といいます。液体充填機にはいくつかの種類があり、チューブから吸い上げてポンプで送るチューブポンプ式充填機、注射器と同じ原理で行うシリンジピストン式充填機などが代表的です。
また、液体を充填する際は温度管理が重要です。液体充填は、充填温度によってさらに次の3種類に分けられます。
低温充填 | 製品を高温・短時間で殺菌したあと、無菌環境で充填する方法。乳製品やジュースなど衛生面に配慮した製品に適している。 |
常温充填 | 常温から80℃程度で充填する方法。設備のメンテナンスが容易で低コスト。 |
熱間充填 | 83℃から91℃の高温で充填をする方法。殺菌効果が高く、長期間保存が必要な食品や飲料に使用される。 |
粘体充填
粘体充填
粘体とは、液体と個体両方の性質を持つ、ドロッとした粘り気のある物質です。粘体充填には、ジャムやマヨネーズ、ゼラチン、カスタードクリームといった食品のほか、歯磨き粉やワックスなどの化学製品を詰めることなどが該当します。なお、粘体を液体として定義するケースもありますが、粘性があるため、日硝実業では別のものとして扱っています。
粘体の充填機には、多くの場合ロータリー式充填機が用いられます。これは通常の液体ポンプでは移送が難しいためです。
また、内容物の性質や粘度によっては、充填の際に加熱や吸引を必要とするケースもあります。粘体充填機を選ぶ際は、幅広い性質に対応しているものを選ぶこともポイントです。
粉体・固体充填
粉体・固体充填
粉体・固体充填は、容器に粉末や固形の食品、医薬品などを詰めることです。食品であれば小麦粉や片栗粉、スパイス、飴、パンなどが該当します。さらにファンデーションやチークといった粉体の化粧品のほか、漢方薬、散剤、サプリメントなども粉体・固体充填の対象です。
粉体・固体充填には、スクリュー式充填機や振動フィーダー式充填機を用います。スクリュー式は回転数や粉を計量器で測定しながら充填するタイプ、振動フィーダー式はプレートを振動させ内容物を移送するタイプの充填機です。
なお、スクリュー式、振動フィーダー式を問わず、充填物が機械の隙間に入ってしまうことがあります。細菌の侵入や繁殖を防ぐため、分解・洗浄がしやすい充填機を選びましょう。
内容物の計量方式で分ける充填の種類
内容物の計量方式で分ける充填の種類
充填の種類は、使用する充填機がどのように内容物を計量するかで分類されることもあります。計量方式で分ける場合に使われる充填機は、主に以下の3種類です。
- 重量式充填機
- 容量式充填機
- 質量流量式充填機
各充填機の特徴を確認していきましょう。
重量式充填機
重量式充填機
重量式充填機は、内容物の重さを計量しながら充填する充填機です。内蔵された秤を使い、内容物の重さを量ります。
容器の質量誤差が影響しないうえ、内容物のサイズや形状に関係なく一定量を充填できるため、内容量を正確に把握・管理することが可能です。そのため、一定量を充填し内容量を表示するタイプの商品の充填に適しています。
一定のペースで一定の量を充填できるため、充填後に許容重量を超えたときは洗浄剤が残っている、規定速度で終わらないときは液漏れが起きているなど、トラブルの可能性を想定しましょう。
容量式充填機
容量式充填機
容量式充填機は、ピストンを使って一定の容量をシリンダー内に吸引したあと、弁を開けて容器に充填するタイプの充填機です。
ピストンのストローク量を設定することで、簡単に容量を変更できます。また、充填の精度が高く、液体・粘体・粉体のいずれにも対応できることから、さまざまなラインで使用されています。
ただし、容量式充填機は複雑な構造をしているため、充填する液体の種類が一種類に限定されること、分解・洗浄が難しい点がデメリットです。
質量流量式充填機
質量流量式充填機
質量流量式充填機は、流量計を使用し、液体の流れた量を測定しながら充填する充填機です。
流量センサーが設置されており、センサーを通過した液体の質量流量をリアルタイムで計測します。液体に適した充填機で、オイルや食料油、飲料などに使用されます。内容物の重さを正確に測定・管理しデータ保存できるほか、容器の重さを考えず計量できることが特徴です。
なお、質量流量式充填機も構造が複雑です。容量式充填機と同じく、液体の種類が一種に限られること、分解・洗浄が難しい点に注意しましょう。
業界ごとの充填の意味
業界ごとの充填の意味
充填は多様な業界で使われる用語であり、分野によって意味も異なります。充填を行う代表的な業界は、主に以下の3分野です。
- 製造(食品・化粧品)
- 医療
- 建設・建築
各分野における充填の意味や特徴を見ていきましょう。
製造業(食品・化粧品)における充填
製造業(食品・化粧品)における充填
製造業で充填というと、瓶・缶・ボトルなどの容器に内容物を詰めることをさします。
例えば食品製造の現場であれば、調味料や飲料などを容器に入れる作業が充填です。内容物は醤油や酢などの液体、味噌やジャムなどの粘体、片栗粉や小麦粉などの紛体、パンや飴などの固体などがあります。化粧品の場合も、充填の内容物は化粧水や乳液、ジェル、フェイスパウダーなど多岐にわたります。
なお、製造業では、充填機を使用して作業が自動化されているケースもあります。容器のラベル貼りやキャップ閉めなどすべてを全自動で行う充填機もあれば、一部の行程を手作業で行う半自動充填機もあり、製造現場により異なります。
医療における充填
医療における充填
医療現場における充填は、主に歯科治療や歯科処置に使われる言葉です。虫歯や外傷によって歯の一部が欠けてしまったとき、穴の開いた部分を埋める治療のことを充填といいます。歯の充填処置に使用される素材は、レジン、グラスアイオノマーセメント、セラミック、歯科用アマルガムなどです。
なお、医療機関や薬局で薬剤を容器に詰めることも充填作業です。例えば、薬局で錠剤分包機に薬品を入れる作業や、病院で注射器にワクチンを入れることも充填作業にあたります。医薬品は、成分量を適正に保つため、正確な充填作業が求められます。
建設・建築における充填
建設・建築における充填
建設・建築業界では主に、コンクリートや建造物に欠損部がある際、その部分に充填剤を入れて埋めることを充填といいます。充填に使われる素材は、樹脂やモルタルなどが一般的です。
欠損部の補修以外にも、マンホール周りの接着、目地の補修、プールや排水管の防水・止水を目的とした穴埋めなども充填作業といいます。使われる材料は、シーリング材、コーキング材、パテ類など、状況や環境にあわせて多岐にわたることが特徴です。
まとめ
まとめ
充填とは、隙間のある箇所にものを詰めていくことを意味する言葉です。製造業、医療、建設・建築業など多様な業界で使われており、分野によって作業内容も異なります。
また、充填にはいくつかの種類があり、使用場面に応じて適した充填機が使い分けられています。
日硝実業は、容器包装の販売のほか、さまざまな企業の食品・日用品の充填作業を請け負っています。特に乾物や粉体食品においては自社設備で小ロット充填対応が可能です。充填業務の委託を検討されている方やご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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