毎月の廃棄物処理にかかる費用の高騰や、SDGs・食品リサイクル法への対応に頭を悩ませていませんか?
「食品ロス(まだ食べられるのに捨てられてしまう食品)」と「食品廃棄物(調理くずなど食べられない部分を含む全体)」は、明確に区別されるものです。法規制への対応やコスト削減を考える上では、食品ロスだけでなく、これら食品廃棄物全体をいかに減らし、有効活用していくかが重要なポイントです。
本記事では、食品廃棄物まで含めたリサイクル手法の具体例から、企業が得られるメリット、さらには優良な業者の選び方までを詳しく解説します。持続可能な企業経営のヒントとして、ぜひお役立てください。
- 食品ロスリサイクルの主な手法
- 食品ロスリサイクルのメリット
- 食品ロスリサイクル業者の選び方
食品ロスの主なリサイクル手法
食品ロスの主なリサイクル手法
食品ロス(まだ食べられる食品)だけでなく、調理くずなどの食品廃棄物まで含めて、どのように新たな資源として有効活用すればよいのでしょうか。
ここでは、これらの廃棄物を合わせた「食品リサイクル」の代表的な3つの手法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら解説します。
| リサイクル手法 | 適している食品廃棄物 | 導入/運用コスト | 企業側の分別負担 | メリット・特徴 |
| 飼料化(エコフィード) | 栄養価が高く、成分が均一な残渣(パン、麺、菓子くずなど) | 中程度 | 非常に高い(異物混入NG) | 食品残渣に含まれる栄養をそのまま活かせる国産飼料の自給率向上に貢献 |
| 肥料化(コンポスト) | 飼料化が難しい残渣(野菜くず、茶殻、コーヒー粕など) | 低〜中程度 | 高い(塩分・水分の厳格な調整が必要) | 発酵技術の向上により良質な堆肥化が可能地域農業と連携しやすい |
| メタン化(バイオガス) | 水分を多く含む残渣(飲料残渣、液状廃棄物など) | 高い(外部委託が一般的) | 比較的低い(包装材の機械分離設備が多い) | ビニール等の異物混入に強い自社店舗の電力等に再利用可能 |
飼料化(エコフィード)による再利用
飼料化(エコフィード)による再利用

参照:https://foocom.net/column/meat/17705/
「飼料化」は、食品残渣を家畜の餌(飼料)としてリサイクルする方法です。食品リサイクル法の中でも、最も優先して取り組むべき手法として位置づけられています。この手法には、以下のような特徴やメリットがあります。
- 輸入に頼る配合飼料を減らすことに貢献できる
- 食品残渣に含まれる栄養をそのまま活かせる
ただ、実施にあたっては、包装材などの異物混入を防ぐための厳格な分別や、成分に応じた使い分けが欠かせません。専用の加工設備を整えたり、地域の畜産農家・飼料製造業者との連携体制を構築したりといった準備も求められます。
肥料化(コンポスト)による土壌還元
肥料化(コンポスト)による土壌還元

「肥料化」は、食品廃棄物を微生物の力で発酵・分解させて、農地で使う堆肥に生まれ変わらせる方法です。メリットは以下が挙げられます。
- 飼料にするのが難しい野菜くずや茶殻、コーヒーの豆かすなども処理できる
- 最近は発酵の技術が上がったことで、嫌なニオイや分解しきれなかった廃棄物を抑えた、質の高い堆肥を安定して作れるようになっている
一方で、堆肥化には広い保管場所やある程度の熟成期間が必要です。また、季節によって変わる肥料の需要に合わせて引き取り先を確保したり、水分や塩分を調整したりといった高度な管理も課題となってきます。
メタン化(バイオガス)によるエネルギー回収
メタン化(バイオガス)によるエネルギー回収

参照:https://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/whatisbiogass.html
「メタン化」は、密閉したタンクの中で食品廃棄物を発酵させてメタンガスを作り出し、燃料や発電に使う方法です。飲料の残りや液状の廃棄物など、水分の多い廃棄物を処理するのに向いています。ビニールなどの包装材が混ざっていても、事前の処理で機械的に分けられる設備が多いため、現場での分別の手間が比較的少なくて済むのが嬉しいポイントです。
一方で、施設の導入には多大なコストがかかるため、自社で持つよりも外部の専門業者へ委託するのが一般的となっています。発酵後に残る「消化液」を液肥として活用してくれる販路の確保も、この取り組みを成功させるための重要な鍵です。
食品廃棄物の活かし方には、本記事でご紹介しているリサイクル以外にも「アップサイクル」(素材の特性を活かしながら廃棄物を別の価値の製品へ転換させる方法)もあります。
食品ロスのリサイクル業者の選び方
食品ロスのリサイクル業者の選び方
食品ロス(食べられる食品)と食品廃棄物(食べられない部分)を合わせて適正かつ確実にリサイクルするためには、パートナーとなる処理業者の選定が不可欠です。ここでは、円滑なリサイクル運用を実現するための、信頼できる委託先を見極めるポイントを解説します。
収集運搬・処分許可証を所持しているか
収集運搬・処分許可証を所持しているか
食品廃棄物は業態によって法律上の区分が異なります。
- 産業廃棄物:食品製造業から出る動植物性残渣
- 事業系一般廃棄物:飲食店や小売店から出る調理くずや売れ残り食品
業者を選ぶ際は、自社の廃棄物区分に合った「収集運搬業」と「処分業」の許可を正式に受けているか、許可証の原本で確認することが重要です。無許可の業者に委託すると、廃棄物を出した企業側が罰則を受ける責任を負うことになってしまいます。
さらに、コスト高騰や法対応をクリアするための指標として、以下の公的な認定・登録の有無も確認したいポイントです。
- 産業廃棄物の「優良認定業者」
通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした処理業者。不法投棄などのコンプライアンス違反リスクを抑える安全な選択肢。
- 「登録再生利用事業者」
国に登録されたリサイクル事業者。この事業者を利用して国の認定を受ければ特例が適用され、多店舗展開する小売・外食チェーンなどはエリアをまたいだ広域回収ルートを効率的かつ低コストで構築しやすくなる。
自社の廃棄物(水分・塩分など)と業者の処理能力は合っているか
自社の廃棄物(水分・塩分など)と業者の処理能力は合っているか
業者によって、得意なリサイクル方法や引き取れる廃棄物の状態(水分量、塩分濃度など)は大きく異なります。自社の廃棄物と相性の悪い業者に頼んでしまうと、リサイクル品の質が落ちたり、処理が追いつかなくなったりするトラブルにつながりかねません。
そのため、事前に相手の工場へ足を運び、実地確認を行うことをおすすめします。運び込まれた廃棄物がスムーズに処理されているか、異物を取り除く設備が揃っているかを自分の目でチェックしましょう。さらに、自社の繁忙期などで廃棄物の量が急に増えたときでも、無理なく対応できるだけのキャパシティがあるかを見極めることも大切です。
マニフェストに対応しているか
マニフェストに対応しているか
委託した廃棄物が最後まで正しく処理されたことを証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を、きちんと運用できる体制も必要です。現在は国が、インターネット上で管理する「電子マニフェスト」の普及を強く推し進めています。特別な廃棄物だけでなく、一般的な産業廃棄物においても電子化への移行が実質的なスタンダードになりつつあります。
業者を選ぶときは、この電子マニフェストシステムに対応していることはもちろん、処理のデータを進んで開示してくれる、透明性の高い企業姿勢があるかどうかを重視してみてください。クリアな取引を保つことは、法律を守り、ひいては自社のブランドを守ることにもつながります。
食品ロス・食品廃棄物のリサイクル例
食品ロス・食品廃棄物のリサイクル例
実際に食品ロスや調理くずなどの食品廃棄物をリサイクルし、成果を上げている企業は数多く存在します。ここでは、食品廃棄物全体を資源として捉え、リサイクル率向上とコスト削減を両立させている企業の具体的な成功事例をご紹介します。
食品メーカーにおける廃棄物の飼料化
食品メーカーにおける廃棄物の飼料化
オリオンビール株式会社では、ビール製造工程でどうしても出てしまう「ビール粕」を、生やサイレージ(乳酸発酵させた状態)で提供。さらに余剰酵母も乾燥・粉末化して、近隣の畜産農家へエコフィードとして供給しています。
また、株式会社ジャパンファームの事例もユニークです。酒造会社から出る「焼酎粕」を配合飼料と混ぜてオリジナルのエコフィードを作り、その飼料で育った豚肉をブランド化してふるさと納税の返礼品に出品しています。廃棄物を出す企業自らが設備投資を行い、成分が安定している「製造副産物」の強みを活かして高品質な飼料へと生まれ変わらせている素晴らしい事例と言えます。
小売・外食チェーンにおけるリサイクルループ
小売・外食チェーンにおけるリサイクルループ
株式会社吉野家ホールディングスでは、全国の店舗から発生する「牛脂」を回収して飼料化しています。その回収量は年間で約3,400トン規模にのぼり、グループ全体の食品リサイクル率64.1%達成を支える大きな柱となっています。
また、びっくりドンキーなどを展開する株式会社アレフでは、店舗の生ごみから新しいエネルギーを生み出す取り組みを実施。店舗から出た生ごみをメタン発酵施設でリサイクルし、そこで発生したバイオガス由来の電力を自社店舗で購入・利用している点が先進的です。さらに、廃食用油を回収してバイオディーゼル燃料に精製し、農業機械や発電機に再利用するなど、リサイクルループを多角的に広げています。
食品ロスのリサイクルを始める具体的なステップ
食品ロスのリサイクルを始める具体的なステップ
「リサイクルを進めたいけれど、何から手をつければいいか分からない」という方も多いかもしれません。取り組みを成功させるには、現状の把握から現場での運用ルールの徹底まで、段階を踏んで進めることが大切です。
実践的な手順を3つのステップに分けて説明します。
自社の廃棄物排出量と組成の現状把握
自社の廃棄物排出量と組成の現状把握
リサイクル計画の第一歩は、廃棄物の量と中身のデータを集めることから始まります。工場やそれぞれの店舗で、「いつ・どこで・何が・どれだけ」捨てられているか、現場の実態を正確に測って記録してみましょう。
単に重さを測るだけでなく、中身がどんなもので構成されているかを調べる「組成分析」が重要になります。ここが曖昧なままだと、後から最適なリサイクル方法を選べなくなり、業者との話し合いもスムーズに進みません。まずは自社の廃棄物の中身を「見える化」することが、すべての土台となります。
法規制に基づく処理目標の設定とリサイクル手法の選定
法規制に基づく処理目標の設定とリサイクル手法の選定
現場のデータが見えてきたら、次は自社が達成すべき食品リサイクル率の目標を決めます。食品リサイクル法で業界ごとに定められている目標値を最低ラインとして、SDGsなどの企業方針にも寄り添った無理のない計画を立てていきましょう。
目標をクリアするために、廃棄物の中身に一番合ったリサイクル方法を選びます。塩分が少なくて栄養のあるかすが多ければ「飼料化」、野菜くずなどが多くて発酵させやすいのであれば「肥料化」、水分が多すぎて細かな分別が難しいなら「メタン化」といったように、相性を客観的に評価していくことがポイントです。
業者選定とテスト回収・分別ルールの徹底
業者選定とテスト回収・分別ルールの徹底
リサイクルの方向性が決まったら、条件に合う許可業者をリストアップし、複数の業者から相見積もりを取ったり、直接工場を見に行ったりして委託先を決めます。そして、正式な契約を結ぶ前にテスト回収を行い、実際の運用で困る点(回収の頻度、廃棄物の出し方、ニオイ対策など)をあらかじめ洗い出しておくことが大切です。
どれだけ立派な設備や業者が揃っても、現場のスタッフが正しく分別してくれなければリサイクルは成り立ちません。「異物を絶対に混ぜない」「水気をしっかり切って捨てる」といったルールをわかりやすいマニュアルにし、ポスターの掲示や勉強会を通じて現場へ浸透させていきましょう。
分別の正確さは、そのままコスト削減に直結します。現場の運用にしっかりとルールが根付くまでサポートを続けることが、リサイクル導入の重要なゴールです。
まとめ
まとめ
食品ロスや食品廃棄物のリサイクルは、単なるコスト削減にとどまらず、これからの持続可能な企業経営に欠かせない大切な取り組みです。まずは自社の現状を正しく把握し、信頼できる業者と連携することで、厄介な廃棄物も価値ある資源へと生まれ変わります。
廃棄物の活かし方には、リサイクルだけでなく「アップサイクル」(素材の特性を活かしながら廃棄物を全く別の価値を持つ製品へ転換させる方法)もございます。
日硝実業では、アップサイクルをはじめとして、食品ロス削減に関するご相談から実際の商品づくりまで、トータルサポートを提供しております。食品ロスにお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。













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